8月19日、ビルボードライヴ東京にてネナ・チェリーのライヴを観てまいりました。私が見たのはこの日の2ndショー。まさに待望の来日公演、ミーハー魂を炸裂させて最前列で堪能いたしました!
ステージには、ドラムセットが無い代わりにPCなど機材が並び、パーカッション、ベース、ギター、キーボード、鉄琴? さらにハープまで、ステージ狭しと並べられた楽器群を見ただけで、期待で胸が一杯になりました。
さて、場内が暗転し、いよいよメンバー達が登場。ハープの爪弾きから始まったのは、昨年リリースされたばかりの最新作「BROKEN POLITICS」から、そのオープニング・ナンバー「Fallen Leaves」。幻想的で万華鏡のようなサウンドを聴かせるバンドをバックに、ネナ・チェリー唯一無比の歌声が響く。やっぱりネナ・チェリーの魅力は、まずはその個性的な声です。若い頃からセクシャルでどことなく子供っぽく自由奔放な歌声の持ち主でしたが、50代半ばになった今でもそれは全く変わらず、さらに包容力のような深みを感じさせる。それは明らかに"歌"でありながら、エモーショナルなポエトリーリーディングのように聞こえたりもする。
序盤は「Shot Gun Shack」、「Deep Vein Thrombosis」、「Kong」、といった新作からの曲が中心。バンドメンバー達は、曲ごとに楽器を持ち替え、陰影の濃い色彩豊かなサウンドを聴かせてくれる。エレクトロニクスと生演奏が有機的に絡むそのリズムは、現代的でありながら、どこか遺伝子レベルの懐かしさをも感じさせてくれるような根源的なグルーヴで、明らかにライブという場で新たな命を吹き込まれている。立体的で、ダビーで、フリーキーなそれは、アルバムで聴くより遥かに肉感的。最新作はフォーテットとして知られるキーラン・ヘブデンがプロデュースを務めていますが、彼のフォークトロニカ的な意匠を、さらにライヴ・モードにギア・チェンジした印象で、一曲ごとにワクワクさせられる。
そんななかで90年代の名曲「Woman」が歌われる。私も当時からさんざん聴いていた曲なので、懐かしいと思う一方で、現行モードにアップデートされたサウンドに痺れましたね。およそ20年前の曲が、新曲達と並べられても違和感無いんですから!驚きます。
そして中盤で印象的だったのは、2014年にリリースされた前作のタイトル曲「Blank Project」です。鋭角的に躍動するトライバルなリズムが強烈でしたね。ネナ・チェリーは私の目の前で踊りまくる。まさかネナ・チェリーがこれほどまでに熱いパフォーマンスをするとは思っていなかったので、観ているこちらも大興奮。終盤にかけてリズムはどんどん増幅されていくようで、その祝祭感は半端ありませんでした。
さらに、ユッスー・ンドゥールとの共演曲「7 seconds」。94年ですか?これも懐かしかった。クールな質感から終盤にアフリカンなリズムが強調され、そのグルーヴ感がこれまでの流れをしっかりと感じさせてくれる。続いてネナの89年のソロ・デビュー作「Raw Like Sushi」から「Manchild」。この曲でネナは強力なラップを披露。
ちなみに、この曲は当時まだマッシヴアタックがブレイク前の3Dとネナが共作した曲。最新作収録の「Kong」も3Dとの共作曲。そもそもネナ・チェリーは80年代初頭にポスト・パンク辺りの界隈から頭角を現し、UKの最も先鋭的なシーンを泳いで来た才女。彼女の音楽には、パンク、ヒップホップ、トリップホップ、レゲエ、ダブから、近年のエレクトロニカやベース・ミュージックまで、様々な要素が内包されている。そしてその根底には、フリー・ジャズの巨匠である継父ドン・チェリーからの影響もあるはず。
最新作からの「Faster Than The Truth」では、終盤、低音とノイズを重ねていき爆音化していくというアヴァンギャルドな展開を見せてくれたり、「Natural Skin Deep」では反復するリズムとフレーズに、内なる野生を喚起させられるような、呪術的な陶酔感が濃厚だったりと、ステージ終盤はディープな様相を見せ始める。
そしてそんな空気を一気に爆発させたのが、「Buffalo Stance」ですよ!!ネナのソロデビュー曲。鋭角的なリズムに野趣溢れるネナのヴォーカル。最も古い曲が最も先鋭的に聴こえるというマジック。客席の後方や横側のお客さんはみんな立ち上がって踊って盛り上がっていましたね〜。
そして最後はスタンデョングオベーション。ここ数年、間違いなく第2の全盛期を迎えているネナ・チェリーの最新モードにして、現段階での彼女の集大成的な意味合いも感じられたステージ。本当に素晴らしいライヴでした!!
この日のセットリストはこんな感じだっかな?
01. Fallen Leaves
02. Shot Gun Shack
03. Deep Vein Thrombosis
04. Woman
05. Kong
06. Blank Project
07. 7 seconds
08. Manchild
09. Faster Than The Truth
10. Natural Skin Deep
11. Buffalo Stance
ちなみに、この写真は、ネナの足下にあったメモ。6曲目は最新作収録の「Synchronised Devotion」のことだと思われますが、多分やってない。代わりに「Blank Project」をやってる。もし、「Synchronised Devotion」をやっていたら、それは最も静かでアンヴィエントな曲になったはずで、それを最もビートの利いたダンサブルな「Blank Project」にスイッチしているっていうのは、なかなか興味深い。どっちをやるかで随分と印象変わるはず。私は、「Blank Project」ウェルカムですけどね!
ステージには、ドラムセットが無い代わりにPCなど機材が並び、パーカッション、ベース、ギター、キーボード、鉄琴? さらにハープまで、ステージ狭しと並べられた楽器群を見ただけで、期待で胸が一杯になりました。
さて、場内が暗転し、いよいよメンバー達が登場。ハープの爪弾きから始まったのは、昨年リリースされたばかりの最新作「BROKEN POLITICS」から、そのオープニング・ナンバー「Fallen Leaves」。幻想的で万華鏡のようなサウンドを聴かせるバンドをバックに、ネナ・チェリー唯一無比の歌声が響く。やっぱりネナ・チェリーの魅力は、まずはその個性的な声です。若い頃からセクシャルでどことなく子供っぽく自由奔放な歌声の持ち主でしたが、50代半ばになった今でもそれは全く変わらず、さらに包容力のような深みを感じさせる。それは明らかに"歌"でありながら、エモーショナルなポエトリーリーディングのように聞こえたりもする。
序盤は「Shot Gun Shack」、「Deep Vein Thrombosis」、「Kong」、といった新作からの曲が中心。バンドメンバー達は、曲ごとに楽器を持ち替え、陰影の濃い色彩豊かなサウンドを聴かせてくれる。エレクトロニクスと生演奏が有機的に絡むそのリズムは、現代的でありながら、どこか遺伝子レベルの懐かしさをも感じさせてくれるような根源的なグルーヴで、明らかにライブという場で新たな命を吹き込まれている。立体的で、ダビーで、フリーキーなそれは、アルバムで聴くより遥かに肉感的。最新作はフォーテットとして知られるキーラン・ヘブデンがプロデュースを務めていますが、彼のフォークトロニカ的な意匠を、さらにライヴ・モードにギア・チェンジした印象で、一曲ごとにワクワクさせられる。
そんななかで90年代の名曲「Woman」が歌われる。私も当時からさんざん聴いていた曲なので、懐かしいと思う一方で、現行モードにアップデートされたサウンドに痺れましたね。およそ20年前の曲が、新曲達と並べられても違和感無いんですから!驚きます。
そして中盤で印象的だったのは、2014年にリリースされた前作のタイトル曲「Blank Project」です。鋭角的に躍動するトライバルなリズムが強烈でしたね。ネナ・チェリーは私の目の前で踊りまくる。まさかネナ・チェリーがこれほどまでに熱いパフォーマンスをするとは思っていなかったので、観ているこちらも大興奮。終盤にかけてリズムはどんどん増幅されていくようで、その祝祭感は半端ありませんでした。
さらに、ユッスー・ンドゥールとの共演曲「7 seconds」。94年ですか?これも懐かしかった。クールな質感から終盤にアフリカンなリズムが強調され、そのグルーヴ感がこれまでの流れをしっかりと感じさせてくれる。続いてネナの89年のソロ・デビュー作「Raw Like Sushi」から「Manchild」。この曲でネナは強力なラップを披露。
ちなみに、この曲は当時まだマッシヴアタックがブレイク前の3Dとネナが共作した曲。最新作収録の「Kong」も3Dとの共作曲。そもそもネナ・チェリーは80年代初頭にポスト・パンク辺りの界隈から頭角を現し、UKの最も先鋭的なシーンを泳いで来た才女。彼女の音楽には、パンク、ヒップホップ、トリップホップ、レゲエ、ダブから、近年のエレクトロニカやベース・ミュージックまで、様々な要素が内包されている。そしてその根底には、フリー・ジャズの巨匠である継父ドン・チェリーからの影響もあるはず。
最新作からの「Faster Than The Truth」では、終盤、低音とノイズを重ねていき爆音化していくというアヴァンギャルドな展開を見せてくれたり、「Natural Skin Deep」では反復するリズムとフレーズに、内なる野生を喚起させられるような、呪術的な陶酔感が濃厚だったりと、ステージ終盤はディープな様相を見せ始める。
そしてそんな空気を一気に爆発させたのが、「Buffalo Stance」ですよ!!ネナのソロデビュー曲。鋭角的なリズムに野趣溢れるネナのヴォーカル。最も古い曲が最も先鋭的に聴こえるというマジック。客席の後方や横側のお客さんはみんな立ち上がって踊って盛り上がっていましたね〜。
そして最後はスタンデョングオベーション。ここ数年、間違いなく第2の全盛期を迎えているネナ・チェリーの最新モードにして、現段階での彼女の集大成的な意味合いも感じられたステージ。本当に素晴らしいライヴでした!!
この日のセットリストはこんな感じだっかな?
01. Fallen Leaves
02. Shot Gun Shack
03. Deep Vein Thrombosis
04. Woman
05. Kong
06. Blank Project
07. 7 seconds
08. Manchild
09. Faster Than The Truth
10. Natural Skin Deep
11. Buffalo Stance
ちなみに、この写真は、ネナの足下にあったメモ。6曲目は最新作収録の「Synchronised Devotion」のことだと思われますが、多分やってない。代わりに「Blank Project」をやってる。もし、「Synchronised Devotion」をやっていたら、それは最も静かでアンヴィエントな曲になったはずで、それを最もビートの利いたダンサブルな「Blank Project」にスイッチしているっていうのは、なかなか興味深い。どっちをやるかで随分と印象変わるはず。私は、「Blank Project」ウェルカムですけどね!