ポジャギ展を見た後、階下にある
福岡アジア美術館にも行きました。
20周年を迎えたこの美術館は、アジアの近現代美術を専門的に紹介する世界に唯一の美術館として開館したそうです。
私は布が好きなので、アジアの布が展示されていることを期待しました。
これは19世紀中頃の古いカンタです。
「千花弁の蓮とヒンドゥーの神々」(作者不詳)
のカンタで、ベンガル地方のフォリドプールで制作されたものです。
上下左右のない四方に広がるデザインで、古いカンタの典型的な作例です。
ラクシュミーのいる蓮と山車
これは1850年頃のカンタを現代風にアレンジしたもので、2000年に作られました。
1970年代からの民俗芸術復興の動きの中で、博物館などに収蔵された古いカンタを模して新しいものが作られるようになった一つです。
植民地時代のベンガル/壁掛け
これはノクシ・カンタといわれる刺繍布です。
ベンガル地方の伝統的な刺繍布を商品化したもので、商品化に貢献したデザイナー、スレイヤ・ラーマンの作品で2000年に作られました。
ムガル帝国時代の栄光からイギリスの植民地へと移りゆく19世紀後半のインドが描かれ、
イギリス人の業績や虎狩りなどの娯楽が刺繍されています。
黄金のベンガル/壁掛け 2000年
1980年頃から盛んになった農村風景をデザインしたノクシ・カンタです。
これまでは縫う側に徹し、絵の中にあまり登場しなかった女性たちの労働の姿が描かれています。
古いカンタと違い、遠近法を用い天地左右のある「絵画」の様です。
こうして順番にみるとバングラデシュのカンタの変遷がわかり、
興味深く見てきました。
私が知っていたカンタは二番目の「蓮と山車」のものが近いですが、カンタはこれからはより絵画的になっていくのでしょう。
本でしか知らなかった、古いカンタを見られたのは嬉しかったです。
これは小さな作品ですが、
とても可愛いと思って撮ったら、
この美術館のマスコット的存在だったらしく、
外ではためく、美術館の案内旗に使われていました。
インド近代美術のパイオニア、ジャミニ・ロイ「子鹿」1940年頃の作品です。
リキシャ(自転車タクシー)
駆け足で巡った「アジア美術、100年の旅」でしたが、いつかまたゆっくりと行ってみたいと思いました。