<「与八のやつ、顔つきが変ったと思わんかね」
「あれは芸術に目覚めた人間の顔です。眼の光がまったく違いますね」>
(筒井康隆「ポルノ惑星のサルモネラ人間」/『宇宙衛生博覧会』所収 新潮文庫)
カブキ恒星系ナカムラ星、夜泣き山の麓ににある日本人の調査団基地。唯一の女性調査隊員である島崎すい子博士が怪草ゴケハラミの雄性胞子を吸い込み妊娠をしてしまった。妊娠した場合の処置を「性行為について強い博愛的衝動を無尽蔵に持つ」という原住民
ママルダシア人から聞き出すために生態学者のおれ(曾那)と細菌学者の最上川博士、雑役係の与八は「いやらしい」星の「いやらしい」動植物の待ち構えるジャングルや湿地帯を抜けてママルダシアへ向かう。
「セックス」は人間を進化させるのか、退化させるのか。そしてその進化(退化)は正しいのか。
目覚めていく者、強制的に変わらされる者、そして観察者という3人組はいかにもコメディの定番の役回りとはいえ、3人の道中に襲いかかる(3人に発情し続ける)動植物たちの「百鬼夜行」描写のヴィジュアル喚起力は素晴らしいすな(馬鹿馬鹿しくて)。2005年にリリースされていた同タイトルのアンソロジー(新潮文庫)は「グロテスク」でまとめられているようだけれども、グロテスク感はあまり感じさせないと思うんだが…。
「あれは芸術に目覚めた人間の顔です。眼の光がまったく違いますね」>
(筒井康隆「ポルノ惑星のサルモネラ人間」/『宇宙衛生博覧会』所収 新潮文庫)
カブキ恒星系ナカムラ星、夜泣き山の麓ににある日本人の調査団基地。唯一の女性調査隊員である島崎すい子博士が怪草ゴケハラミの雄性胞子を吸い込み妊娠をしてしまった。妊娠した場合の処置を「性行為について強い博愛的衝動を無尽蔵に持つ」という原住民
ママルダシア人から聞き出すために生態学者のおれ(曾那)と細菌学者の最上川博士、雑役係の与八は「いやらしい」星の「いやらしい」動植物の待ち構えるジャングルや湿地帯を抜けてママルダシアへ向かう。
「セックス」は人間を進化させるのか、退化させるのか。そしてその進化(退化)は正しいのか。
目覚めていく者、強制的に変わらされる者、そして観察者という3人組はいかにもコメディの定番の役回りとはいえ、3人の道中に襲いかかる(3人に発情し続ける)動植物たちの「百鬼夜行」描写のヴィジュアル喚起力は素晴らしいすな(馬鹿馬鹿しくて)。2005年にリリースされていた同タイトルのアンソロジー(新潮文庫)は「グロテスク」でまとめられているようだけれども、グロテスク感はあまり感じさせないと思うんだが…。