2011年の0-4での三連敗も、去年夏の柏戦前後の未勝利ロードにも相当な焦燥感があったが、今季は開幕からとんでもない3月になっている。
予兆はあった。開幕前週の2月のPSM新潟戦もそうだし、その二週間前のPSM磐田戦も伏線だったのかもしれない。
むしろ3ボランチを試運転し、1-0で勝利したPSM磐田戦は出来過ぎだったのだ。しかし、あのゲームを観てポジティブにならない方がおかしい。開幕2週間前とはいえ磐田相手に積極的なプレスを繰り返しゲームを支配してほぼ完勝。アフシンでなくとも仕上がりは上々と思っても当然だったのだ(実際にそういう発言もしている)。
課題は今年もゴールの問題、誰もがそう信じて疑わなかったと思う。
しかしその一週間後のPSM新潟戦で序盤に失点してしまい0-4の惨敗。開幕の大宮戦は2点先制されながらパワープレーで追いついたものの、ホーム開幕戦のマリノス戦は5失点。建て直しを誓った湘南戦は辛くも1-1のドローに持ち込み、リーグは代表ウィークに入った。攻撃力が取り沙汰されていたものの、実際はキャラの奮闘で誤魔化されて岩下の離脱以降、CBの問題は棚上げにされていたのだ(アレックスもディフェンス面でも実に献身的なプレーヤーだった)。
シーズン序盤はどのクラブも戦い方は安定しない。それでも、いくら惨敗しようとも、誰だって今日より明日には「建て直し」は進むと考える。最優先であるリーグのために、ナビスコカップ予選がある程度「テストマッチ」的な要素を含みながら戦われた20日のアイスタでのナビスコカップAグループ1節甲府戦は、それなりの、その「前進」が見えたのは確かだっただろうと思う。何が起ころうがオレたちは段々にしか進めないのだから、オレは甲府戦を評価している。Always Look on the Bright Side of Lifeだ。
しかし、2節 磐田戦である。残念ながら現場には行けなかったのだけれども、思えば2月のPSM磐田戦がボタンの掛け違いの出発点だったとするならば、この結果はあまりにも残酷で象徴的なものになってしまった。たった1ヶ月の間に清水は後退し、磐田が前進したことがはっきりと結果として表れてしまったのだ。いくらテスト的な要素があったとはいえ、そして甲府戦の犬飼がそれなりにポジティブに評価されていたとはいえ、彼を使い続けたことはチームにとっても、犬飼本人にとってもあまりにもリスキーなチャレンジだったと思う(他にも問題のありそうなプレーヤーはいるのだが…)。
今週クラブからのアクションがない限り、次節アイスタでのリーグ広島戦は文字通りアフシンの進退問題に係わるゲームになる。今のアフシンはクラブのヴィジョンにあまりにも多く、深く関わっているのですぐに結論が出るとは思えないのだが、「結果がすべて」のプロならばもはや言い逃れができるような状況ではないことは確かだ。去年のナビスコカップ決勝以来、公式戦勝ちなしという状況はあまりにも酷い。
ただし一部マスコミ、一部サポーター(かどうかはわからないけれども)の意見として、すでに解任、更迭が目的化したような批判や罵詈雑言にはまったく同意することはできない。アフシンやプレーヤーのひとつひとつの発言は、本質や真意が無視され、揚げ足を取られ続け、恣意的に捻じ曲げられるだろう。生前のバーケンさんは「メディアリテラシーを持て」と書き続けたが、残念ながら清水コミュニティはもはやそんな状況ではなくなっている。
オレは彼(ら)がまだ戦い続けるのならば、少なくとも戦っている間は共に戦い続けたい。
菊田一夫の「鐘の鳴る丘」にはこんな歌詞がある。<昨日にまさる 今日よりも明日はもっと幸せに>。昨日よりも今日が、今日よりも明日がマシであることを信じたいし、清水というクラブ(チーム)や清水コミュニティがそうであるように願っている。