<日本と台湾は10日、台北市で、沖縄県尖閣諸島(台湾名・釣魚台)周辺海域の漁業権について「日台民間漁業取り決め(協定)」に調印した。台湾は領土権を棚上げし、漁民の利益を最優先に早期決着を図った。中国は尖閣問題で連携を呼びかけていただけに、中台関係に波が立つ可能性も出てきた。>
(東京新聞2013年4月11日付 台湾 尖閣領土問題棚上げ/日本と漁業協定に調印/中国不快感「中台の漁業権益」)
<10日、漁獲量などの操業ルールを策定しないまま、協定に基づく運用が開始された。台湾の漁船は、尖閣周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に設けられた協定(取り決め)適用水域で操業しているが、同漁協(八重山漁業協同組合)などはトラブルを懸念して近づかないという。(中略)沖縄にとっては、協定の内容もタイミングも寝耳に水だった。日本と台湾が台北市で協定に調印したのは先月10日。日本が主張する日台間の中間線と、台湾が尖閣を含む海域に強いた「暫定執法線」という境界線に挟まれた海域などを「適用水域」に指定。このうちマグロの好漁場である東南部は「特別協力水域」として漁獲高や漁船数を細かく決めるが、残りの水域は自由漁エリアとする。日本は執法線内の尖閣周辺や宮古、石垣島など八重山諸島北側の操業は認めてこなかった。一方、台湾当局は執法線内での台湾漁船の安全を守ってきた。つまり今回の取り決めは現状を追認した面が大きい。沖縄側が驚いたのは執法線をはみ出す形で、久米島の西方と、石垣島の北方が対象海域に含まれていたことだ。この二つの水域の「死守」を再三求めてきた沖縄側の意向は無視された。日本政府は、尖閣問題で中国と台湾の「共闘」を防ぐため、協定の調印を急いだ。>
(東京新聞2013年5月14日付 台湾 尖閣領土問題棚上げ/日本と漁業協定に調印/中国不快感「中台の漁業権益」)