徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

両者イエローカードの行方/排外デモカウンター行動(3.16)

2014-03-19 23:30:05 | News
13日、浦和レッズの「Japanese only」問題に対して、リーグは初の無観客試合の処分を下した。
その週末の日曜日、池袋では「春のザイトク祭りReturn~勇気をもって日韓断交。叫ぼう」なるヘイトデモが行われた。

豊島公会堂前の公園にも到着した時には、すでに多くのカウンターが集結し、時折通り過ぎるレイシストや公会堂のロビーに顔を表すレイシストに罵声を浴びせかける。公会堂内ではヘイトデモに先駆けて、「3.16秘密保護法の活用と発展を目指す国民集会」という、意味不明な集会が開催されていた。
そしてカウンター側も、久々にC.R.A.C.や男組といった主要カウンターグループが大規模行動を呼びかけていた。年明けにも板橋区・大山でのヘイト街宣に対するカウンターが合同で行われたが、ここまでの規模は昨年の9.8以来だろうか。
デモのスタートは16時30分。15時を過ぎたあたりからカウンターは公園から離れ、デモの「出口」となる明治通り周辺に集結し始める。

お馴染みのプラカード、ダンマクに加え、レッズの差別事件を受けて、ACLで横浜Fマリノスサポーターが掲げた「Show Racism the Red Card」の文言や「STOP RACISM NOW」と謳ったゲートフラッグが登場した。また、その中にはレッズのマフラーを手にしたカウンターも何人か見られた。
「Japanese only」問題発覚後の一週間は、ほぼこの話題で埋め尽くされ、Jリーグ、浦和レッズの当事者のみならず、多くのサポーターもこの問題に素早く反応した。その直後に行われたヘイトデモに対して、この問題が反映されないわけがない。皮肉にも昨年春以降から今までの間で、メディアがもっとも具体的に、「差別」について時間を費やした一週間だったともいえる(勿論、今回のデモでレイシストたちはここぞとばかりに「~only」のプラカードを何枚も掲げた)。
一般的には、一方の当事者であるはずのチュンソンが前面にフィーチャーされることもなく、当事者(被害者)がいるのかいないのか、よくわからないまま、「(差別)言葉の問題」で終始してしまった感も否めないのだけれども、それでもいまだにヘイトスピーチにピンとこない日本においては珍しく「差別」について語られる一週間であったことは間違いがない。

100~120名ほどのレイシストたちは、スタート前に豊島公会堂前に勢ぞろいすると、デモタイトル通り、「日韓国交断絶しよう」なる巨大なダンマクを掲げ、公園に残っていたカウンターに誇示し、挑発を繰り返した(この醜悪な光景を豊島区役所は見ていただろうか)。目の前にはバリケードに加え、二重、三重の機動隊員がレイシストを守る。そして在特会の親玉である高田誠を先頭に、奇声を上げながらレイシストの「パレード」はスタートした。
カウンターは歩道を埋め尽くし、レイシスト共を追走する。

今回は良くも悪くも追走が比較的容易だったこともあり、所々で歩道のカウンターと機動隊の揉み合いが続く。その姿を見て、またレイシストはカウンターを挑発する。珍しくカウンターに詰め寄るレイシストもいたようだ。ある者はカウンターの胸ぐらに掴みかかり、ある者(オサム)はカウンターの腹を殴る。デモの帰り際に近くにいた警備に対して「今日、奴ら挑発しすぎじゃないですか?」と訊ねると、「警察がいるから」と答えた。
それでも正式にデモ申請し、公安委員会の許可を得たレイシストのパレードは止まらない。彼らがそのことで逮捕されることはない。なぜなら許可を得たデモは必ず実施させる。これは何が何でも、だ。
ちなみにこの日、レイシストからではなく、高田の側にずっと寄り添っていた警備から、止める振りをして膝蹴りを入れられそうになったのだが、それはそれとして、このところのデモ警備には目に余るものがある。

ヘイトデモの警備とは、両者に対してイエローカードを手にしたレフリーである。カウンターには常にカードが突きつけられているといってもいいだろう。デモ中のレイシストには形ばかりのカードが掲示されている(体面上)。
挑発行為は許さない。報復行為も許さない。そしてカードを出す準備はいつでもある。それがデモの現場で警備というレフリーがカウンターに対するスタンスだ。
しかし自ら中立を自称する、「どっちもどっち」なレフリーこそ徹底的にフェアでなければならない。
カウンターに対して胸ぐらを掴んだレイシストを引き離そうとした人はコートのボタンが引きちぎられた。それを警備に訴えたところ、「この程度では逮捕できない」と言ったという。しかし一方では「ボタンが取れた」とレイシストが騒いだだけで逮捕されたカウンターがいる。
何なのだろう、このアンフェアは。

サッカーの世界には「プロフェッショナルファウル」という言葉がある。これは、失点確実な局面であえてカード覚悟で相手を止めに行くプレイを指す。
アンフェアな状況の中でのカウンター行動というのは、やはりこのプロフェッショナルファウルに近い行動なのだと、つくづく思う。
(勿論プラカードやダンマクを掲げて抗議の意志を示すぶんには何の問題もありません)

https://twitter.com/gonoi/status/445232972174594048
<激昂してカウンター側の男性の胸ぐらを掴むレイシスト。さすがに直接暴力だったので、警察とともに彼を引き剥がしていたら私のコートのボタンがちぎれた。これは普通にまずいんじゃないですかと警察の方に聞くと、この程度では逮捕できないとのこと。 pic.twitter.com/N6jTrDZXhn >