小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星Ryugu(リュウグウ)の探査活動に基づく、次のような研究成果をまとめた論文が、イギリスのオンラインジャーナル 「Nature Astronomy」に掲載された。
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暗いリュウグウ表面に非常に明るい岩塊が多数個発見された。
光学航法カメラ(ONC)と近赤外分光計(NIRS3)の観測により、この明るい岩塊のうち6つは外来起源物質である可能性が高いことがわかった。特にこれらの岩塊はS型小惑星と似た反射スペクトルを持っていることが示された。
これらの岩塊はリュウグウの母天体とS型小惑星との衝突によりもたらされたものである可能性が高いと考えられる。
ベヌーではV型小惑星に近い外来起源物質が発見されており(同論文と同時に発表された米国のOSIRIS-REx探査機チームの論文ではベヌー表面でも明るい岩塊が発見されたことが報告されている)、両者を比較すると両者が違う衝突史を経てきたことが分かる。
また、リュウグウで見つかった明るい岩石のうち多くはリュウグウと似た反射スペクトルを持つことも分かった。
これらはリュウグウ母天体内部の異なる場所からきたものであると考えられる。
「はやぶさ2」の回収試料の中にはこれらの明るい岩塊片が混ざっている可能性があり、それらを調べることによりリュウグウ母天体の熱進化や衝突天体についてより詳細な情報を得られることが期待できる。(日本宇宙航空研究開発機構<JAXA>)