先日は、休日出勤の当番であった。
日頃の行いのせいか、朝から冷たい雨。夜には雪に変わるかもしれないという予報。
いつもよりは始業時間が遅いとはいえ、気の重いことといったらない。しかしそれを上回って気がかりだったのは、当日の要員がふたりだけなので、もしも急用ができて、出勤できなくなったらどうしよう……というものだった。代わりを頼もうにも、ぎりぎりになって都合のつく人は限られているだろう。
そのため、無事に電車に乗ったときには、心底安堵したのである。
電車の中は、外出自粛や天気のせいもあって、がら空き。ひとつの車両に乗っているのはわたしだけ。悠々と座れるのは有り難いが、こんな日はやはり家にこもっていたいと、心境はフクザツである。
さて、事務所に着くと、わたしたちの部署にだけ電気がついていてほかは真っ暗である。平日とは様相が違い、なんだか見知らぬ空間のようでもある。
すでに来ていた保健師と、さっそく急ぎの仕事にとりかかる。
医療機関からの電話、本部への電話、パソコン入力‥‥。
住民のかたからの憤りの電話を受けているうちに時はすでにお昼。
今のうちに食事をしておこうとコンビニ弁当をガツガツ食べ始めるや否や、隣の席の保健師氏から、急ぎのオーダーがはいっていったんお預け。
平日よりも格段に、時間が早く過ぎていく。
ふたりきりだと、いやがおうでも、目の前の相手と協力しあって仕事を進めなくてはいけない。できれば一日、気持ちよく過ごしたい。ただでさえストレスの多い業務なのである。話す相手が、ひとりしかいないのでなおさらである。
お互いにそう思うせいか、わたしたちの間で交わされる会話が、普段よりも和やかで、口数も多く感じられる。時には愚痴を言ったり、雑談まで混ざっている。わたしと彼女との間に限っていえば、平日にはありえない光景である。
そんな時に起こったのが、”ジャケットおよび椅子お焦げ事件”であった。
休日は暖房がとまっているので、各々、電気ストーブを座席のうしろに据え置いて仕事をする。
と、急に、お隣の保健師氏が声を上げた。ふとみると、彼女の背もたれにかけてあるジャケットが真っ黒くなって煙を出している。ストーブをあまりにも近くに寄せ過ぎたために、火が付いたのである。マスクをしていたので、焦げ臭い匂いにふたりとも気がつかなかったらしい。さらに、焦げたのは彼女のジャケットだけでなく、椅子の布製の背もたれも真っ黒に、まあるく穴があいている。
「どうしよ~、管理課の人に怒られちゃう」。ストーブにこびりついた残骸をこそげ取りながら彼女。
火事になる前に気づいてよかったわねえ‥‥と笑い話になったのだが、こうしたハプニングも、期せずして彼女との心理的な距離を近づける要因となったのである。
それだけに、帰る間際、医療機関からの緊急の知らせによって、せっかくの親和的なムードが一転、殺伐としたものになってしまったのは、実に残念である。
日頃の行いのせいか、朝から冷たい雨。夜には雪に変わるかもしれないという予報。
いつもよりは始業時間が遅いとはいえ、気の重いことといったらない。しかしそれを上回って気がかりだったのは、当日の要員がふたりだけなので、もしも急用ができて、出勤できなくなったらどうしよう……というものだった。代わりを頼もうにも、ぎりぎりになって都合のつく人は限られているだろう。
そのため、無事に電車に乗ったときには、心底安堵したのである。
電車の中は、外出自粛や天気のせいもあって、がら空き。ひとつの車両に乗っているのはわたしだけ。悠々と座れるのは有り難いが、こんな日はやはり家にこもっていたいと、心境はフクザツである。
さて、事務所に着くと、わたしたちの部署にだけ電気がついていてほかは真っ暗である。平日とは様相が違い、なんだか見知らぬ空間のようでもある。
すでに来ていた保健師と、さっそく急ぎの仕事にとりかかる。
医療機関からの電話、本部への電話、パソコン入力‥‥。
住民のかたからの憤りの電話を受けているうちに時はすでにお昼。
今のうちに食事をしておこうとコンビニ弁当をガツガツ食べ始めるや否や、隣の席の保健師氏から、急ぎのオーダーがはいっていったんお預け。
平日よりも格段に、時間が早く過ぎていく。
ふたりきりだと、いやがおうでも、目の前の相手と協力しあって仕事を進めなくてはいけない。できれば一日、気持ちよく過ごしたい。ただでさえストレスの多い業務なのである。話す相手が、ひとりしかいないのでなおさらである。
お互いにそう思うせいか、わたしたちの間で交わされる会話が、普段よりも和やかで、口数も多く感じられる。時には愚痴を言ったり、雑談まで混ざっている。わたしと彼女との間に限っていえば、平日にはありえない光景である。
そんな時に起こったのが、”ジャケットおよび椅子お焦げ事件”であった。
休日は暖房がとまっているので、各々、電気ストーブを座席のうしろに据え置いて仕事をする。
と、急に、お隣の保健師氏が声を上げた。ふとみると、彼女の背もたれにかけてあるジャケットが真っ黒くなって煙を出している。ストーブをあまりにも近くに寄せ過ぎたために、火が付いたのである。マスクをしていたので、焦げ臭い匂いにふたりとも気がつかなかったらしい。さらに、焦げたのは彼女のジャケットだけでなく、椅子の布製の背もたれも真っ黒に、まあるく穴があいている。
「どうしよ~、管理課の人に怒られちゃう」。ストーブにこびりついた残骸をこそげ取りながら彼女。
火事になる前に気づいてよかったわねえ‥‥と笑い話になったのだが、こうしたハプニングも、期せずして彼女との心理的な距離を近づける要因となったのである。
それだけに、帰る間際、医療機関からの緊急の知らせによって、せっかくの親和的なムードが一転、殺伐としたものになってしまったのは、実に残念である。
お疲れ様でした。
緊急の宣言が出ていますから、大変ですね。
もう身を潜めているだけでは問題解決にならないようですが
だからといって、奮い立って見ることも出来ません。
それにしても、お焦げで済んだとはいえ、2人きりの場でのハプニングは、非日常感をアップさせますね。
センサーが反応しなくてよかったです。
今日の出勤後の話題が、感染症ではなく、オコゲ事件だったらいいなあと。ほかには、緊急なことがおこらなかったということですから……^^
それにしても、すぐ後ろの椅子がぼうぼう燃えているのに気付かないなんてことがあるのですね。こんなことが、家の中で、しかも就寝中におきたらと思うとぞっとします。気づいた時はすでに逃げ道がふさがれているということだってあるかもしれません。
心して火の用心、デス。