逸木裕の『虹を待つ彼女』を読んだ。横溝正史ミステリ大賞受賞作。
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人工知能の研究者の工藤は、AIを活用した囲碁ソフトや人工知能と会話するアプリ「フリクト」を開発していた。あるとき社内で「フリクト」で故人の人工知能を使うという企画が持ち上がり、プロトタイプに、若くて美人のゲームクリエーターだが、自分が作ったゲームを現実に投影して派手な自殺した水科晴が選ばれる。工藤は水科晴の過去を調べていくのだが、それを邪魔する存在がいて・・。
人を好きになったことのない独善的な工藤が、故人である水科晴に惹かれて異常な執着心で晴に迫っていく様を描く作品で、引き込まれて一気に読了。今ほどAI全盛ではなかった時期に書かれたお話しで、著者の先見はなかなかのもの。殺人事件が起こるわけではないが、ミステリとして楽しく読める作品だ。
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