篠田節子の『鏡の背面』を読んだ。吉川英治文学賞受賞の長篇ミステリー。
自らのアルコール依存症を克服し、私財を投入して、DVや自傷癖、薬物・アルコール中毒など様々な問題を抱えた女性の施設を主宰する小野尚子が、施設の火災時に母娘を助けて焼死してしまう。警察が遺体を調べたところ、それは小野尚子ではなく半田明美という連続殺人が疑われた人物で、歯科の治療の履歴から、少なくとも9年前から半田は小野尚子として施設にいたらしい。なぜ半田は小野として施設を主宰して、本当の小野尚子はどこにいるのか?以前に半田明美が演ずる小野尚子を取材したフリーライターがその謎を解き明かしていくのだが・・・。
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小野尚子の人生と、半田明美の人生を描く作品で、途中で霊感的な方向へ向かってやや冗長な気がしないでもない。さらに、そう簡単に別な人物に成りすませるの?とか、大金を手にした稀代の悪女がどうして聖女のように施設を運営してるの?とか腑に落ちないところもあるのだが、グイグイ引き込まれて一気に読了。いやー、これは読み応えあり。
以下ネタバレなので未読の方は読まないように。
半田明美がワープロに残していた手記から真相が判明。半田明美がフィリピン滞在中の小野尚子を殺して、彼女に成りすまして帰国。彼女の財産を手中にしたものの、小野尚子として生きていくうちに小野に洗脳されたようになってしまったというのが真相らしい。
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