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九十歳になった自分を想像する事は難しい。
運転免許を更新するために毎年試験を受けているだろうか? 一般道はOKだがハイウェイはNGと判定され、それに不服を申し立て、再試験を申請し、結局受かって、ハイウェイを一人で二時間ドライブしてオペラを見に行けてるだろうか? 七十近い義理の息子にたっぷりとした朝ご飯や、ぐつぐつ煮込んだ手料理をご馳走できてるだろうか? 自らの九十歳のバースデーパーティーのレストランを予約したり、三十人分のココナッツケーキを注文したり、花屋に出掛けて会場に飾る花を選んだり、隣人を招いてお喋りしながら花のアレンジを一緒に楽しんだりできてるだろうか? パーティー会場で先頭を切ってダンスを披露してるだろうか? 義理の息子が連れて来た外国人の嫁に、「いい? 友達やご近所とはしっかり付き合うのよ。年を取れば取るほど彼らは大切な人達になるから。覚えておきなさいよ。」と、教えてあげられてるだろうか?
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ベティ母さんみたいなスーパーレディにはなれないだろうが、ベティ母さんみたいに健康で、頭が良く、口が悪く、面白く、親切で、毎日ケチケチして、大事な時に気前がよく、犬と音楽とオペラをこよなく愛し、嘘のつけない、何でも顔に出てしまう、そんな九十歳に私はなりたいと、今回もまたつくづくと思った。
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