ニックも私も枇杷が好きでよく買う。
今朝はオートミールに枇杷とヨーグルトを入れた。バナナや苺や桃やブルーベリーに劣らぬ美味しさ。
昔は枇杷の木に登って、海を見ながら、海賊気分で、産毛のある皮ごとむしゃぶりつき、種を地面に吐いていた。父が村で初めてソーラーパネルを屋根につけた時、海水浴後の冷えた体を屋根で温まったお湯につけるのが楽しみだった。母が甘夏の実を取り出して砂糖をかけてくれた。
ニックのチェロの師ピアティゴルスキー先生は、ロサンゼルスの大邸宅に果樹園を持っておられた。ニックと散策しながら、枇杷の実を取って、長い指で剥いて、美味しそうに召し上がった。君も食べなさい、と言われ、初めて木から直に果実を捥いで食べる喜びを知ったそうだ。
「失せ物」
探偵ナイトスクープで、失せ物探しのおまじないをやってた。「さいぎょうのあさのころものぬうたびうせたることいでぬことなし」。ニックのジーパンが無くなったので、鋏を片手に(別のおまじない)これを唱えて家中探し回ったが出てこない。そも、ジーパン無くなる事ってある? どこかよそで脱いだとて、代わりに何か履いて帰らねばならないので、脱いで忘れて帰るのあり得ない。五万円のジーパン。どうやったらジーパンを失くせるのか? 探偵さん。教えて下さい。
「パスタ」
美味しい麺さえ買えば、パスタは美味しい。うどんとて、麺さえうまければ醤油だけでうまい。うまいパスタはデパ地下で買うのが早い。うまい太めの麺を茹で、野菜と海老を炒めてトマトソースであえたらローマのパスタの味。そうやって作ったうまいパスタに、パルメジャーノチーズをたっぷりおろしてかけて、ボナペチ! と叫んだ瞬間にスカイプが鳴り、聞いたこともないチェロコンチェルトのフィンガリングを教えるために、冷えた白ワインも、熱々パスタも放ったらかしに、チェロを弾きに練習室へ行く人ってどうかしてる。