今日の季語は春の海。
写真は石手寺の春の沼。美しいですね。
「おウチでベートーベン」
長女幹子とアダム夫婦のホームリサイタルをシェアします。ニューヨークフィルとバーンスタインの「Young People's Concerts」みたいな感じです。大人も子供も楽しめる解説と、優しい演奏をお聴きください。
使われているピアノは、アダムの亡き祖母の遺品です。ジュリアード音楽院を出て教会のピアニストを長年勤め、晩年はフロリダのアダムの叔父の元で暖かく過ごされたそうです。時代を感じさせる懐かしい音色にもご注目下さい。
最後の一曲は、二人のデュエット。とても難しいパートもたくさんありますが、この名曲をあるがままの形で伝えたい、という情熱に溢れた演奏になっていると感じました。それは常にニックが語る、音楽家としての理想の姿でもあります。
私も同じ理想を持って俳句人生を生きています。この季語をあるがままの形で十七音にして伝えたい。私の全てをこの一句に捧げたい。それには、うまい下手は関係ないと信じているのです。
「ハイフェッツ神話」
ハイフェッツのニューヨークデビューコンサートの夜。新しいスーツにタイに、美しいハンカチを胸にキッチリとさし、いよいよ本番という時、彼の父親がこう言いました。
「ヤッシャ、みんなにお前の唾を吐きかけてやれ!」
これは直訳で、お前の実力を天下に知らしめてやれ、という意味です。ロシア人の表現ゴイゴイスー。
この話にはまだ続きがあります。
その夜の観客席には、当時人気のあったバイオリニストのミッシャ•エルマンとピアニストのレオポルド•ゴドフスキーが座っていました。インターミッションの時の会話。
エルマン「It’s really hot tonight.(今夜はすごく暑いな。)」
ゴドフスキー「It’s not so for a pianist.(そうでもないよ、ピアニストの僕にはね。)」
つまり、ホットなバイオリニストが今夜誕生したね、とエルマンをからかったのだそうです。