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ミセスローゼンの上人坂日記

みづうみの雨のち晴れて花苺

ニックの恩師ピアティゴルスキー先生の生誕118年の今年も、『グレゴール・ピアティゴルスキー・メモリアルzoomセミナー』が行われました。ピアティゴルスキー先生の録音を皆で聞き、貴重な体験をシェアし、音楽について語り合う。ホストは、先生の親友であり、ピアティゴルスキー本の著者として知られるチェロ教授のテリー・キング。聴衆は、テリーの友人や後輩や教え子のチェリスト達。彼の書斎から発信されたので、合間に彼の犬の遠吠えが入ったりして和やかな催しでした。
私が一番面白かったのは、先生ハイドンチェロ協奏曲第2番について、ドイツのTV番組の為にドイツ語で語っている録音。リヒャルト・シュトラウス本人の指揮で、ハイドンコンチェルト2番とドンキホーテの二本立演奏会のリハーサル場面。以下ピアティゴルスキー先生の台詞。

 私が自作のカデンツァ※を弾いたら、シュトラウスが、「それは誰が作曲したのかね?」と怪訝な顔で聞いてきたので、思わず私だとは言えず、「エーミール・シュマールです。」と出鱈目な名前を教えてしまった。シュトラウスは真面目な顔で、「私ならもっと良いカデンツァが書ける。」とその場でサラサラと楽譜を書き、私に弾かせた。弾いていると途中から『ティル・オイレンシュピーゲル※』のメロディーになり、オーケストラ全員が腹を抱えて笑った。シュトラウスが、「シュマールのほうがマシだな。シュマールのカデンツァでいこう。」と言い、また大笑い。私のカデンツァもそう悪くはなかったわけだ。

※カデンツァとは本来、独奏協奏曲やオペラのアリアなどの中で、オーケストラの伴奏無しの即興的独奏。良いカデンツァは楽譜に記録され繰り返し演奏される。一曲につき複数のカデンツァが存在する事が多い。(ハイドンチェロ協奏曲1番にはナサニエル・ローゼン・カデンツァもある。)

 リヒャルト・シュトラウスの交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』(1895年)。

テリーの解説を耳で聞いただけなので、間違いがあったらごめんなさい。
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