涼州詞 王之渙
黄河遠く上る白雲の間 / 一片の孤城万仭の山
羌笛何ぞ須いん楊柳を怨むを / 春光渡らず玉門関
素晴らしい詩ですね。この詩を指導する時、起句、承句の理解が結構難しい。どうかすると白雲の間に山が連なっているのが見えて、その山に城がぽつんと見えていると取りたくなる。実は起句は辺塞の地を意味していて、荒涼とした砂漠の中にぽつんと城が見られ、その遥か彼方には万年雪を戴く山がそびえているという光景なのだ。
転句では、「羌笛」と「楊柳」について説明をし、倒置法の表現効果を理解させたい。結句については「玉門関」の写真を見せてあげたい。玉門という言葉の響きに何か華やかさを感じたりするけれど、実は砂漠の中にポツンと今は廃墟となって残っている。まさに春になっても春の光さえ射してこないと感じられるほどの寂しい所だったのだということを感じさせ「春光渡らず玉門関」に込められた思いを感じ取らせたい。
そんな辺塞に派遣されていた兵士の孤独感は「一片の孤城」「万仭野山」の対応などと呼応して実に見事に表現されているのです。