手稲は最高!

手稲在住30年、手稲って本当にいいなって常々思っています。時に触れ、折に付け思いついた事を、取り留めなく書いてみます。

詩吟の楽しさ

2020-05-11 19:42:50 | 詩吟関係


 漢詩のリズム感が好きです。詩吟は漢詩の訓読文を吟じるのです。訓読文というのは、原文(白文)を日本語の文法に随って読み直したものです。この原文を訓読して書き下すのには、日本語の古典文法に随わなければなりません。日本語には、古典文法と現代文法の二つがあります。しかし、日本語の標準語は現代文で、日常語はこの現代語になります。古典語はまさに古典で生活から離れているのですが、日本語のすばらしさは古典語に在ると私は感じます。素晴らしいリズム感があり好きです。
 
 詩吟は音楽芸能に属し、独特のリズム感を持っています。しかし、本来の漢詩のリズム感は中国語を会得し、原文を自在に読めなくては、そのリズム感もわからないはずです。絶句には平仄法とか押韻となどがあり、これは中国語を理解した方でなくては本当に理解しがたいのです。しかし、訓読された漢詩は中国語のリズム感のようなものをうまく取り込んでいます。そのリズム感が何回も繰り返し読んでいるうちに、とても心地よく思えるようになり、ますます漢詩のすばらしさに引き込まれていきます。
 
 そんな漢詩が作られなくなったということは、實はここにあるのですね。漢詩も芸術ですが、芸術の本質は、その詩に込められた作者の真実なのです。しかし、定型詩では真実の表現が薄められ、遊びに近くなるという弱点があり、現代詩ではほとんど定型が無くなっています。漢詩という定型詩のリズム感を初めから楽しむ分には問題はないわけで、芸術論はさておき漢詩の格調の高い音楽性を、日本語で味あう詩吟の楽しさを知ってほしいと思います。

 定型詩のリズム感は、音数律と韻律に大きく分けられます。音数律は日本では五七調、七五調になり、漢詩では五言、七言となります。いろいろ細か分析がで来ますけれど、おおざっぱに一つの特徴を上げるといづれも奇数になっていると言うことが挙げられます。この奇数の語の持つ役割を考えてみる必要があります。偶数の配列だとどうなるでしょうか。四・八・・・四・六・八などと書いただけで違和感が出てきます。日本語の言葉は母音になって余韻を引くことができる特性があります。詩吟はこの特性を實に巧みに使っているのです。中国語では二語を単位として奇数の語をうまく生かしてリズム感を出しているところがあります。それに対して日本語では二語一拍というリズム感になっています。ここらのあたりを整理してゆくと、間の取り方などが浮かび上がってくると思います。
コメント
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