勤務先の近くにラーメン店が新規オープンした。
店先にはいくつもの花輪が立ち、客が店の外まで並んでいる。
それほどの多店舗ではないが、広域にチェーン展開している、
ちょっと名の知れた店らしい。
だが、他人事ながら少し心配だ。
知る限りこの1年ほどで、この店は3度目の新規開店になる。
要するに、新規オープンしたものの何カ月後にはもう閉店し、
次にまた別の店が開店する。
そんなことを繰り返しているのだ。
最初の店には、行きつけというほどではないが
月に2、3度は行った。
カウンター席10席ほどが並ぶ、小ぢんまりとした店だったが、
通ううちに「大丈夫なのだろうか」心配になってきた。
昼時になっても客の入りが芳しくないのだ。
BGMに、ラーメン店には不似合いと思えるジャズを流している。
『儲かる音楽 損する音楽~
人気ラーメン店のBGМは何でジャズ?』
そんなタイトルをつけた新書本が出たことがあり、
実際にBGMをジャズにしたら、
客が増えたという店が東京にあるらしい。
この本を読んでのことか、
この店でもジャズが流されるようになったのだ。
テボを振っている兄さんに「好きなの? ジャズ」と聞くと、
含み笑いしながら「ええ、まあ」と一言だけだったが、
それほど日を置かずドアに『○日をもって閉店いたしました』と
B4ぐらいの白紙が貼られてしまった。
次は全国展開している、ラーメン通には知られた店で、
多少の手は入っていたが、ほぼ居抜きでの開店だった。
開店当初は満席に近い状態だったが、
不運だったのはコロナの感染拡大に直撃されたことだ。
見る間に客足は遠のき、昨年末閉店に追い込まれてしまった。
営業出来たのは、半年ほどだっただろう。
そして、今度の店だ。
福岡市内を東西に貫く幹線道路の一つ、
国体道路沿いにあるから立地場所としては
悪くはないと思うのだが、
商売にはずぶの素人が気を揉んでもしようがあるまい。
ただ、ただ繁盛を願うばかりだ。