Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

ナイチンゲール

2021年03月18日 08時12分51秒 | エッセイ

      肩や腕を優しく撫でてくれる。
      そして、手が重なる。
      この感触、何十年ぶりのことであろうか。
      動悸がちょっと早くなる。
      緊張で固まっていた体の力が、すーっと抜けていく。

           
     
      3カ月検診の診療室。
      この日は、ちょっと痛い検査が入っていた。
      もう何度も経験していることではあるが、
      いつものように緊張する。
      横に立って、優しく慰めてくれる看護師さんの手が、
      肩や腕を撫でてくれ、時に手が重なる。
      束の間であるが、苦痛が去る。
      「大丈夫ですか」「もうすぐ済みますよ」
      その声に励まされ、何とか持ちこたえた。


      看護師さんのことをよく「白衣の天使」という。
      近代看護教育の生みの親と称される
      フローレンス・ナイチンゲール。
      その名言の一つは、こう言っている。
      「天使とは、美しい花をまき散らす者ではなく、
      苦悩する者のために戦う者である」
      ありがとう、看護師さん。

         
    
      だが、検査結果は……。
      診察室で対面した医師は、無情であった
      「がんが再発していますね。手術しましょう」
      5月に4度目の膀胱がん手術を行うことが決まった。