【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

TPP

2013-03-16 19:00:51 | Weblog

 TPPに関して、生産者・製造業の声はテレビでよく紹介されていますが、「消費者」の声や動向はどうなんでしょう。たとえ輸入品より割高でも消費者が国産の農産物を買う、ということになれば「TPPで日本の農業が壊滅する」ことには最初からならないわけです。だったら「消費者が国産品を買いたくなる動機づけ」がお得感を持ってできたり「多くの世帯が割高な国産品でも買うだけの経済力を持っている状態」にもしも政策ですることができれば、TPPの“難点”はがくんと減ることになります。アベノミクスにその政策は入れることができないのかな? それとも最初からあきらめている?
 ちなみにわが家では、ささやかですが、ニンニクは中国産ではなくて国産のを買ってます。本当にささやかな取り組みですけれど。

【ただいま読書中】『システムはなぜダウンするのか ──知っておきたいシステム障害、信頼性の基礎知識』大和田尚孝 著、 日経コンピュータ 監修、日経BP社、2009年、2400円(税別)

 まずは「システムダウン」を「システムが本来の役割を果たせていない状態(予定外の停止、処理の大幅な遅延など)」と定義することから本書は始まります。
 で、最初から「ダウンを100%防ぐのは無理」と。ではどうするのかと言えば、ダウンしてもすぐ復旧・ダウンした際の影響範囲を小さくする・再発防止の対策を立てる、となるのだそうです。
 対策を立てるためには原因究明を行なう必要がありますが、原因は大きく4つに分けられます。
1)ソフトウエアの不具合(プログラムのバグ)
2)性能・容量不足
3)設定・操作ミス
4)不慮の事故
 まずソフトウエアのバグつぶしのためには、各種のテストが行なわれます。あるメガバンクの合併でのシステム統合には、100万の異なるシナリオにしたがって最大6000人が10箇月をテストに費やしたそうです。それでもバグをゼロにはできなかったのですが。
 「61万円で1株」の売り注文を出すはずが「1円で61万株」と誤入力してしまい、しかもその取消処理ができず、証券会社が400億円以上の損失を、という“事例”も紹介されます。実はここにもプログラムのバグが絡んでいたのですが、このバグが表面化するためには「5つの条件」がすべて揃わなければならない、というきわめてまれなケースでした。不幸なことに「1円で61万株」でその5つの条件がすべて重なってしまったのです。ただ著者はこのケースの根本的な問題は「バグがあったこと」よりも「問題が生じたときに緊急停止ができなかったこと」の方である、としています。誤入力に気づいた時点で注文取消ができたらもちろんそこで問題は沈静化しますが、それ以外のトラブルの時でもとにかく「緊急停止」ができればともかく問題の拡大は防止できたはずですから。
 本書では様々な「ミス」が紹介されます。どうしてこれが事前に発見できなかったんだ、と言いたくなるものもありますし、これは運が悪いとしか言いようがない、と言いたくなるものもあります。ただ、一つ確実に言えるのは、「バグやミスをゼロにすることはできない」ということです。「だからあって良いのだ」という開き直りではありません。減らす努力は必要です。全力で必要です。しかしそれでもゼロにはできない。だったら「ミスがあること」「システムはダウンすること」を“大前提”として、その上で何ができるか何をするべきか、についても考えておくこと、それがシステムを運用する管理者(責任者)の“仕事”ということになりそうです。