【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

読んで字の如し〈扌ー11〉「拍」

2013-12-25 06:47:50 | Weblog

「一拍」……二つ以上打たないと間隔がわからない
「心室頻拍」……心の部屋で頻りに柏手を打つ
「拍子」……拍の子孫
「三三七拍子」……拍の子孫は337人
「拍車」……リズム感のある車輪
「拍車をかける」……車輪にストリンジェンド

【ただいま読書中】『ツルはなぜ一本足で眠るのか ──適応の動物誌』小原秀雄・林壽郎・柴田敏隆ほか 著、 渡辺富士雄 画、ぐるーぷ・ぱあめ 編、草思社、1984年(94年40刷)、1600円(税別)

 ずっと昔に読んだときに「ずいぶん熱交換に関する記述が多いなあ」という感想を持ちましたが、読み直すと週刊朝日の「日立科学講座シリーズ」の連載がもとになっているのだそうです。つまり「エアコンに対する理解」を求める態度がベースにあるわけ。
 画に味があります。お札の肖像画のような点描ですが、その動物だけではなくて、その周囲も精密に描き込んであります。動物がその環境にいかに適応しているか、が本書のテーマですが、挿絵もそのテーマを外していません。
 本書には様々な動物の意外な“素顔"が登場しますが、やはり表題作をここでは取り上げておきましょう。
 ツルは眠るときに一本足になります。その理由は……足を一本羽毛の中にしまい込むことで放熱(体温の無駄な発散)を減らすことができます。ただし、外に出ているもう1本の足は容赦なく冷やされます。それがどうしてしもやけにならないのか、といえば、「熱交換器(動脈と静脈がネットワークで絡み合っている組織)」が足の付け根にあるからです。足先から体に戻ってきた冷たい血液はそこで足に向かって流れていく温かい血液に温められます。熱を放出した動脈血は冷やされて足先に向かいます。だから体全体としてみたら、足からの放熱がぐっと抑えられるのです。それにしても、この熱交換器のメカニズムもすごいものではありますが、片足立ちで眠れるとは抜群のバランス感覚ですね。そちらの方もすごいや。
 ミツバチは眠らないとか、草食動物の眠りは浅いとか、動物園だと動物は熟睡するとか、眠りだけに関しても面白い話が次々登場します。生物を「機械」として解釈するのは、やり過ぎると無味乾燥な文章になってしまいますが、本書ではほどほどのところで「生き物っぽさ」が残してあるし、登場する動物がバラエティに富んでいるのでとても楽しめます。