【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

戦争の計画

2020-02-08 07:25:35 | Weblog

 第一次世界大戦・第二次世界大戦・朝鮮戦争・ベトナム戦争……こういった「実例」を見ていると「アメリカがきちんと計画をもって戦争に臨んだことはない」と言えそうです。もっともきちんと計画があったとしても「戦争が始まって最初に死ぬのは作戦計画だ」(『孤児たちの軍隊(1)』の解説から)なのだそうですが。

【ただいま読書中】『孤児たちの軍隊2 ──月軌道上の決戦』ロバート・ブートナー 著、 月岡小穂 訳、 早川書房(ハヤカワ文庫SF1964)、2014年、940円(税別)
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 本シリーズ第一巻は、ジェイソンが死を覚悟しながらガニメデに降下するシーンから始まり、すぐに3年前に戻りました。本書でもジェイソンが死を覚悟しながら「ナメクジの宇宙船」に立てこもっているシーンから始まり、やはりすぐに3年前に戻ります。
 ガニメデの戦いで勝利した、とは言え、人類側も1万人派遣したうち700人しか生き残れませんでした。その惨状の中、ガニメデの洞窟でジェイソンは親友の妻(彼女自身もジェイソンの親友)の出産介助をおこなっています。ジェイソン君、大変です。そして、迎えの宇宙船がやって来て生き残りの部隊は「英雄」として地球に帰還します。
 ところが(例によって)ジェイソンはトラブルに次々見舞われることになります。宇宙軍やホワイトハウスの人間は、ジェイソンに対してなぜか見下したような傲慢な態度を取ります。たかが四級技術士官だった人間が戦地昇進で少将代行に昇進してしまったことや、ぼろぼろの品のない歩兵たちが「人類を救った英雄」になってしまったことに妬みを抱いているのか、とジェイソンは被害妄想的に考えます。だけどジェイソン自身が自分が少将代行になったことにも英雄になったことにも戸惑っているんですけどね。だけど一番の「トラブル」は、ジェイソンの「ナメクジどもは全滅していない」という「勘」を誰も信じてくれないこと。異星人に関してのジェイソンの「勘」が異常に当たることは第一巻で証明済みなのですが……
 で、「勘」は当たってしまいます。第一巻でジェイソンは敵の大軍勢に寡兵で立ち向かいましたが、今回は敵の大艦隊に人類の少数の戦闘艦が立ち向かうことになったのです。数は6倍、質量は100倍の差がありますが。さて、そこでどうやって戦うのか、「定められた計画」と「その場その場のアドリブの戦い」と、どちらが有効か、の“戦い"もまた同時に展開されます。