【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

国会でのヤジ

2020-02-14 07:48:05 | Weblog

 たしか国会の規則には「不規則発言の禁止」があったと私は記憶しているのですが、国会議員って決まりを守る気はない人たち、ってことなのかな。いや、もしそういった規則がなくても、公的な場所での人の発言をヤジで妨害するのは社会人としての礼儀に大きな問題があることになりそうですが。ま、首相が率先してやってたら、下々はみな真似をしますわな。
 そういえば、「チコちゃんに叱られる」(NHK)で「前頭葉の機能が弱ると、衝動が抑えられなくなる」なんてことを言っていましたっけ。気に入らないことがあったら即座にヤジで反応する衝動を押さえられない人は、前頭葉が相当弱っているのかもしれません。

【ただいま読書中】『孤児たちの軍隊4 ──人類連盟の誕生』ロバート・ブートナー 著、 早川書房(ハヤカワ文庫SF2018)、2015年、920円(税別)

 戦争が始まって30年、14の惑星からなる「人類連盟」は連合軍を組んでナメクジ型異星人と戦い続けています。ジェイソンは相変わらず少将として戦いを続けています。高校をドロップアウトし、刑務所か歩兵に志願かの選択で歩兵になった人が、出世したものですが、司令部など“落ちついた環境"だとトラブルしか起こさないため、ずっと“地球外の現地"に出されたままなのです。
 「人類連盟」も、名前は立派ですが、中身はぼろぼろです。それまで自分の惑星の中だけで生き戦い死んでいった人たちが、突然出現した「(地球の)人間」から「たくさんの星に“人類"が住んでいる。みんな仲間だ。さあ、一緒に異星人と戦おう」と主張しても、素直に言うことを聞くとは限りません。また、古くからの部族間の恨みも根強く、まず「一つの惑星」としてまとまるのが難しいのです。ジェイソンは粘り強く「まとめる努力」を続けています。本人は知りませんが、ジェイソンはすでに“生ける伝説"となっていて、その名声の威力はけっこうなものなのです。
 恒星間航宙をおこなうための「時空構造突入点」が集中する時空の結節点と言える場所〈ネズミ取り〉が発見されます。ここを押さえておけば、人類連盟のどの星がナメクジに襲われてもすぐに救援を出すことができます。しかし、逆にここを押さえられてしまうと、人類は宇宙の中での移動がひどく不自由になってしまいます。
 そして、ナメクジ型異星人の奇襲によって、ジェイソンたちは〈ネズミ取り〉から追い出されてしまいます。だったら取り返さなければ。政府は珍しくまっとうな判断をします。たっぷりの戦力を整え(なんと10個師団!)、ナメクジとの戦い方を熟知した司令官を任命(当然、“トラブルメイカー"ジェイソンです)、しかし少将では一個師団の指揮がせいぜいだから、なんとジェイソンを中将に昇進させてしまいます。ジェイソンが「死ぬために出撃せよ」と命令する人の数はどんと増えました。そして、「自分の両手についた見えない血」(第3巻)の量も増えることになります。ただ、その「血」を意識できる人だから、現場の指揮官が務まるのでしょうが。その「血」を気にしなくなったら指揮官の資格はない、というか、人間をやめた方が良いでしょう。
 「孤児」だったジェイソンは「孤児の軍隊」に入ることによって「家族」を得ました。最初は疑似家族だったのがやがて本物に変わりつつあるようですが、兵士は常に「死(自分の死と家族の喪失)」を意識しながら生きています。そのことがジェイソンの成長を促していますが、同時にこの物語に陰りも与えています。「戦死した兵士の家族の悲しみ」と言えば、銃後の家族の悲しみのことを私はまず思いますが、戦場の兵士もまた同じ悲しみを味わっているというのは私ににとっては新鮮な着眼点でした。本シリーズが戦場のアメリカ軍兵士たちに熱狂的に受け入れられたというのは、「これは自分の物語だ」と兵士たちが感じていたからなのでしょう。