「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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チェルノブイリ事故後4年間、政府の圧力で、医師はカルテに放射能関連症状を書き残すことができなかった。

2012-09-13 00:00:18 | 福島第一原発と放射能

【北九州ガレキ阻止】

9/13の0:00現在、北九州市役所秘書室前に抗議で座り込みが続いています。 

 http://www.yamazakimakoto.jp/1006本日、北九州市に調査に来た、民主党の山崎誠代議士が、ブログ記事を更新しています。以下は引用。

「実際にお話を聞いて皆さんの心配は想像以上。市役所の対応に対する不信感も不安を増幅することになっている。17日から市内の3つの工場で焼却を開始するとのこと、住宅地に囲まれる皇后崎工場では試験焼却も行っていないなど不安の声が広がっている」

「大きな声としてあったのが子どもの問題。福島に残されて子どもたちの内部被曝が心配である。健康調査を徹底して結果を正しく分析することはもとより、子どもたちの移住を真剣に考えなければならない。」

「広域処理については反対。もちろん被災地のことを考えると一刻も早く災害廃棄物を処理して差し上げたいが、そのために広域処理というのは問題がある。発生地域で地元の方々の力(労働)で処理をするのが第1、ついで近隣の自治体の協力で処理、それ以上の広域での処理は最終手段と考えるべき。とても北九州まで持って行かなければ処理できない状況とは言えない。」

 山崎代議士は、野田総理や細野環境相に北九州のガレキ焼却中止を要請すると、住民グループに話したそうです。

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【福島で、「こどもに甲状腺がん1例発症」についての皆さんへの留意点】

 

1.現段階で一例の発症であって、今後の発症数がどう推移するのかはさらに注視する事。

2.発表データの発表方法、発表時期を相当考えて慎重に発表している公算が強い事(「極端に心配ない」を主張している事からも)。時期の取り方、発表のやり方で、実はかなり情報の受け止め方を左右できる事。

3.政府・県立医大側の発表のやり方にマスコミが呼応し、大きく検証報道しようとする構えが皆無の事。

4.すでに去年の浜通りの調査で5.0㎜以下の結節や20.0㎜以下の嚢胞を認めたものでさえ、36%。今回の中通りの調査で44%と増加しています。この数字はあきらかにチェルノブイリよりも高いと考えられる事(機械精度の違いを考慮しても)。http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240911siryou2.pdf

5.上の4に付随して、36%⇒44%の上昇は、浜通りと中通りの汚染差と時間経過(去年と今年)が影響していると推測される事。ただし以前から、伊達市はすでに50%超え、高度汚染地は70%超えも非公式情報としてあるため、最終的には、福島県では、さらに上昇する可能性が高いと推測する事。

6.上の5に付随して、首都圏の子どもをみている医療機関によると、のう胞、結節、良性腫瘍が首都圏の子どもでも、ここ数年の新しいエコー機械で、3.11.以降で、30%程度は見つかっているという事。

6.嚢胞などの大きさが20.0㎜以下とアバウトな分類で報告しているため、その大きさによる差異が検証しにくいようになっている事。

7.ベラルーシの医療支援をしているドイツ女医のデルテ・ジーデンドルフ氏から、甲状腺についての見解がありました(来日時の対話での聞き取り要旨)。なお、彼女の過去のインタビュー記事の翻訳は、きょうのブログ記事の一番最後につけました(被曝による、小児糖尿病に対しての思わぬ警告も)。

 子どもの甲状腺について、のう胞や結節があることは、普通ではなく、定期的に検査をし、最低でも1年毎にする事。大きさに変化がなければそのまま様子を見る、大きくなるようならば、3-6ヶ月毎に検査を重ねる事、子どもの甲状腺ののう胞や結節は将来癌化する恐れがあるから、ドイツではその様にしているとの事。

8.福島県立医大鈴木真一教授が「甲状腺がんの発症する期間はチェルノブイリですら最短4年で、それより早いことは極めてまれで、原発由来の発症を否定」と話しています。これがなぜ論外なのかは、当時、チェルノブイリの国々(旧ソ連)の体制の中で、現実に情報が隠蔽される状態が当たり前であった事が、まず挙げられます(勿論、放出核種の量の違いで、今回は、進行スピードが早まっている可能性も考えられます)。このことについて、下記の方からの報告をお読みください。

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 昨年の冬に母子の避難を私自身が決断し、今年春に西日本に引っ越ししました。私は、単身残留です。

木下さんの日ごろからの精力的な情報発信には心より感謝申し上げます。

 さて、きのうの、福島の検査で小児甲状腺ガンが1名出たニュースに接して、私の知る範囲において気になったことが有りましたので、参考までにお伝えしておきます。

 

「ベラルーシではチェルノブイリ事故後、最初の4年間は政府からの圧力で、医師は、カルテに放射能に関連すると思われる症状(健康被害)を書き残すことができなかった。」という話です。


 私は、今年の春に、チェルノブイリ視察で現地を訪問する機会を得ました。

 その時に、ベラルーシの責任者に私から、チェルノブイリ事故後の健康被害について質問したところ、「ベラルーシではチェルノブイリ事故後、最初の4年間は政府からの圧力で、医師は、カルテに放射能に関連すると思われる症状(健康被害)を書き残すことができなかった。だから、事故後の初期(数年)の健康被害の詳しい記録が残っていない。」と言いました(結構、言いにくそうな感じで、声を潜めて話してくれました。)

 以前に読んだ、広河隆一さんの著書「チェルノブイリの真実」に似たような、政府からの圧力で医者が記録を残せなかった、みたいな話が書いて有ったのを思い出しました。何が言いたいかと言うと、今回、福島で小児甲状腺ガンが1名出たことに関し、「チェルノブイリ原発事故でも甲状腺がんが見つかったのは最短4年。」と放射能の影響を否定していますが、私の推測では、もし早期(事故後4年より早い時期)に発症した子供が見つかっていても、公式に記録(カルテ)に残るような状況になかっただけではないかと。


 「チェルノブイリ視察旅行」では、ウクライナの首都キエフにも寄りましたが、市内中心部の公園の芝生の地表の空間線量は場所によっては、0.3~0.4μSv/hが有り、木下さんがよく言う、「キエフは汚染地図で色がついていないけど、実際は汚染されている。」というのを実感しました。  あと、チェルノブイリ周辺の汚染地域の村を数か所訪ねると、現地ガイドさんや住民が、「キエフの方がかえって汚染が高いぐらいだよ」とか言うのを何度か聞きました。(たいがい、暴露話っぽい感じで、ニヤッと笑いながら話す感じでした。)

 ちなみに、ウクライナで事故後4年経ってから住民にガンが多発し、慌てて当局に調べてもらい汚染されていることが明らかになり、廃村に追い込まれた、ロコトキフ村では、道端の草むらの地表部で、0.2~0.3μSv/hとでした。(半減期を考慮してもずいぶん低く感じられました。意外でした。)村々では、地産地消、井戸水利用って感じで、内部被曝は日常だろうなと思えました。

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 先程のデルテ・ジーデンドルフ女医は、こういう話も、過去にされています。

 「統計を取っている方から聞いたのですが、行政から、これくらいの数字にしてくれ、と指示されるようですね。お上の言う通りのことを書かないと報奨金がもらえない。2010年の統計には癌患者はほとんど含まれませんでした。若くない人は、皆、老衰で亡くなったということになってしまうのです。癌患者の中には他の原因で亡くなる人もいますし。ですから、ベラルーシやウクライナのような独裁的な国の統計はあてになりません。病気の原因を被曝以外のものにした方が国にとっては安く済みます。」

 ちなみ福島県立医大の山下俊一副学長が、平成12年に書いた文章や図表をご確認下さい。ゴメリ州の小児甲状腺がんデーなど。http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/bunka5/siryo5/siryo42.htm翌年から、数例は発症しています。データ隠蔽の圧力が、政府より為されている状況であっても。

 さあ、今後、日本政府や体制側の専門医たちがどこまで隠蔽するのかという事に着目しましょう。このチェルノブイリの過ちを日本国が、日本の民が、繰り返すかどうかの分岐点が迫っています。もう、一年半が経過しているのですから。

 後々、事実がはっきりしてくれば、民の怒りが、偽りの者たちに留まるところを知らないだろうと、予期しています。

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!南大隅に福島高濃度汚染土遺棄報道で揺れる! ☆鹿児島市で講演☆

【9/15(土)木下黄太講演 in 鹿児島】

時間 14時〜16時半 開場13時半

場所  鹿児島市  かごしま環境未来館  2階  多目的室

入場料 700 (当日券のみ)

問い合わせ先 kagoshimamma@gmail.com

主催  木下黄太講演会実行委員会  後援 株式会社かごしまんま

別室で託児も可能となりました。生後一歳以上(オムツ、ミルク、水筒、着替え、タオルなど持参のこと)。

お子様一人あたり300円で14時から17時まで預かり。(有資格者ではありませんのでご了解の上になります。)

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!一年振りに博多の真ん中で開催! ☆福岡市赤坂で開催☆

【9/17(月・祝)木下黄太講演 in 福岡】
 
「日本の放射能汚染の現実と今後の予測〜九州でどう向き合い生きていくか〜」

ガレキ受け入れ問題・・・食品の汚染と流通・・・避難移住関連・・・
子供たちの未来を守るために、いま必要なこととは・・・

◆2012年9月17日(月・祝)
開場:18:15
開演:18:45(20:45 終了予定)
◆会場:福岡市立中央市民センター・ホール
(福岡市中央区赤坂2丁目5番8号/TEL.092-714-5521)
http://www.shinko-chuo.jp/access.html
◆入場料:1,000円/当日受付にてお支払い
(入場方法は当日の先着順になります)
 
◆予約方法:こくちーずにて予約受付&メールでの受け付けも始めました。

http://kokucheese.com/event/index/49971/

もしくはメールにお名前、連絡先(電話)、参加人数、住所(何市や何町まで)を送ってください。

参加申し込みのメールアドレスはrdp-kyusyu@goo.jp

*託児:2歳以上のお子様に限ります。
一人につき600円、要予約
(メールで、保護者氏名・連絡先(当日の携帯番号)・お子様の名前・年齢・性別・人数・ アレルギーの有無をお送り下さい。)
連絡先はこちら→rdp-child@goo.jp
必ず題名に「木下黄太講演会in福岡 託児予約」と書いて送ってください。

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!北九州で燃やしたガレキの煙が目の前に見える!☆山口県下関市開催☆

【9/18(火)木下黄太講演 in下関】

 

下関市民会館 中ホール  19:00~21:00(開場18:30)  参加費1000円
ネット予約  こくちーずhttp://kokucheese.com/event/index/50581/

 


前売り券販売プレイガイド(9月1日以降の取り扱いになります)
  シーモール専門店  プレイガイド・ラン
  下関市民会館
ネット予約、前売り券をご購入の方は入場料が900円となります。
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!原発立地自治体に放射能ガレキも押し付けられる!☆福井・敦賀市で開催☆

【9/21(金)木下黄太講演 in 敦賀】

子供たちの未来を守ろう。

開場 五時半 開演 六時 「敦賀市福祉総合センター あいあいプラザ」 入場料500円  

お問合せ・予約「ガレキストップフクイ」→garekistopfukui@yahoo.co.jp に代表者名と参加人数を明記。

 

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甲状腺の検査、甲状腺のエコー検査、さらにふつうの血液検査のうち、血液像の検査(白血球、特に好中球)や異型リンパ球の確認、大人の女性はサイログロブリンの数値も確認した方が良いと思います。

健康被害と思われる症状が先月中ごろから急増、深刻化しています。

報告、相談はまずメールください。nagaikenji20070927@yahoo.co.jp                                           

事故発生当時の行動記録や数値データなどを細かく教えてください。問い合わせの内容も書いてください。健康被害の状態を皆で共有化し、事態の推移をあきらかにしていく作業が最も必要です。

 

「関東・南東北の被曝エリア(東京全域を含む大半のエリア)にいる皆さんは、放射性物質の少ないエリア、できれば愛知県から西のエリアに、移住するべきです。妊婦、子供、未成年、妊娠可能な女性は優先して移住すべきです。他の皆さんも極力移住してください。被曝から一年半近く経過しています。初期被曝は深刻で、慢性被曝の影響がさらに危険です。食物、飲料のみならず、吸気による被曝も軽視できません。回避する方法は限定的です。あなたやあなたの家族の命が何よりも大切です。一刻も早く移住してください。」

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「依頼」

9/14の午後から夜、鹿児島でスケジュールが取れる方いましたら、お願いしたいことがあります。メールください。鹿児島エリアでの移動でお願いがあります。

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「再録」

チェルノブイリ被害者支援活動を続けるドイツ人医師、ジーデンドルフ女史インタビュー

ドイツ国営放送ARDのニュース番組、TagesschauのHPにチェルノブイリ被害者救済活動を続けるドイツ人女医、
デルテ・ジーデンドルフ氏へのインタビュー記事が掲載されています。
http://www.tagesschau.de/ausland/tschernobyl134.html 以下、翻訳しました。


「チェルノブイリは遺伝子の中で荒れ狂う」


チェルノブイリ事故から四半世紀が経過した。しかし、被曝被害は広がる一方だとデルテ・ジーデンドルフ氏は語る。ジーデンドルフ氏は20年前からベラルーシで医療支援活動を行い、同時に反核運動にも関わって来た。


Tagesschau: ジーデンドルフさん。あなたは1990年以来、ベラルーシの各地を定期的に訪れてチェルノブイリ事故の被害者の救済活動を続けていますね。ベラルーシではどんな事故の影響が見られるのでしょうか。

Siedendorf: 風で運ばれた放射性降下物の量はベラルーシが最大でした。私達の組織のある町の姉妹都市であるKostjukowitischi市はベラルーシ東部の、チェルノブイリから約180km離れたところにあります。その地方の1/3が放射性物質で汚染されました。3万5000人の住民のうち8千人が移住しなければなりませんでした。30以上の村が取り壊されるか、埋められました。

Tagesschau: 現在はどうなっていますか。

Siedendorf: 他のどんな災害とも異なり、被曝被害というのは時間が経つにつれて拡大します。逆さにしたピラミッドのようなものです。フクシマ事故に関しては、今、そのピラミッドの一番下の先の部分にある状態です。チェルノブイリはそれよりももう少し進んでいる。チェルノブイリは遺伝子の中で猛威を振るっています。いえ、遺伝子だけではない、遺伝子が操作するすべての細胞にチェルノブイリが巣食っているのです。25年経った現在は、主に低線量被曝が問題となっています。

Tagesschau: どのような経路で低線量被曝するのでしょうか?

Siedendorf: たとえばストロンチウムやセシウムなど、半減期が30年ほどの核種に被曝するのです。この30年という半減期ですが、10倍にして考えなければなりません。これらの核種が生物学的サイクルからなくなるまでにそのくらいの時間がかかります。300年という年月はヒトでいうと8~10世代に当たりますが、この間は被曝による病気が増えると考えられます。

Tagesschau: 放射性物質はどこにあるのですか?

Siedendorf: ベラルーシでは放射性物質はもうとっくに地下水に入り込んでいます。ベラルーシには湿地や砂地があり、地下水脈はそう深くありません。 放射性物質は一年に2cmのペースで地下を降下すると考えられています。今は地下50cmくらいです。その地下水から放射性物質は植物や動物に取り込まれます。砂地ではガイガーカウンターを当てても、今ではもう反応しません。その反対に、森では枯れ葉やコケがあって放射性物質は地中に入り込みませんから、地表に残っています。落ち葉の多い場所や森の縁ではガイガーカウンターが反応します。雨水が溜まる窪地も線量が高いです。

Tagesschau: どのような援助をなさっているのですか?

Siedendorf: 最初の10年間は薬品の原料を現地に運び、薬局で点眼薬や点耳薬、座薬などが調合できるようにしていました。10年前からそれは許可されなくなり、現地の薬局は国が購入して配る医薬品しか販売してはいけないことになりました。

Tagesschau: それはうまく行っているのでしょうか?

Siedendorf: まあ、大体は。でも、特殊な医薬品が不足しています。どういう医薬品が認可されるかは薬を登録しようとする医薬品メーカーが払う賄賂の額で決まるのです。たとえば、ベラルーシには国に認可されているインシュリン薬は二種類しかないのが問題です。子どもに投与するには別のインシュリンが必要な場合が多いのです。糖尿病は、チェルノブイリ事故の後、子ども達の間に急激に増加した病気の一つで、新生児でも糖尿病を発症するケースがあります。そのような場合には私達は個別に援助します。

Tagesschau: 何故、子どもの糖尿病が増加しているのですか?

Siedendorf: セシウムによる低線量被曝が原因だと考えられます。食物連鎖を通じて妊婦の腸内に取り込まれます。子宮内で胎児の膵臓の発達が阻害されるのです。膵臓はインシュリンを分泌する、非常に繊細な器官です。子どもは三歳になるまで修復機能を備えた免疫系を持ちません。また、子どもは大人よりも細胞分裂が速いです。細胞がちょうど分裂するときに放射線を浴びると、影響が大きいのです。ですから、子どもの場合、ほんの少しの線量の被曝でも成長が妨げられてしまいます。

Tagesschau: 残存する放射線の影響は他にはどんなものがありますか?

Siedendorf: たとえばよく言われるのは、チェルノブイリの近くに住む人達は神経質で、「放射能恐怖症」にかかっているということですね。だから、彼らは何をやっても集中できないのだと。しかし、これは汎発性の脳障害なのです。人が生まれて来た後に最も頻繁に細胞分裂する器官の一つが脳ですから。チェルノブイリ事故後の最初の世代では夫婦の30%が子どもに恵まれていません。ドイツでも10%がそうです。遺伝子が傷つけられたことで流産や早産、そしてその結果、乳幼児の死亡が増えています。胎児の段階で死なずに生まれて来れば、障害は次の世代へと受け継がれます。

Tagesschau: チェルノブイリ事故の被害者数に関してはいろいろな説がありますが、これはどうしてでしょうか?

Siedendorf: 統計を取っている方から聞いたのですが、行政から「これくらいの数字にしてくれ」と指示されるようですね。お上の言う通りのことを書かないと報奨金がもらえない。2010年の統計には癌患者はほとんど含まれませんでした。若くない人は皆、老衰で亡くなったということになってしまうのです。癌患者の中には他の原因で亡くなる人もいますし。ですから、ベラルーシやウクライナのような独裁的な国の統計は当てになりません。病気の原因を被曝以外のものにした方が国にとっては安く済みます。原子力ロビーと独裁政治は相性が良い。どちらにとっても、チェルノブイリは終わったものとした方が都合がよいのです。しかし、人々はこう言います。「チェルノブイリは私達の人生そのものだ、とね」

Tagesschau: WHOやIAEAはどのような役割を担っているのでしょうか。

Siedendorf: チェルノブイリの健康被害について私達の知らないことがたくさんあるのは、1959年にWHO とIAEAの間に結ばれた秘密の協定のためです。WHOに被曝による健康被害について何を調査し、何を発表するかはIAEAが決めているのです。そのために多くの国際学会の開催が中止になり、ロシアやベラルーシ、ウクライナの研究者の低線量被曝に関する研究は発表されませんでした。しかし、幸いにも2009年にニューヨーク科学アカデミーがこれらをまとめて発表しました。

Tagesschau: フクシマの被害はどのくらいになると予想されますか?

Siedendorf: フクシマの被害はチェルノブイリ以上になるのではないかと思います。まだ事故は収束の目処が立っていませんし、非常に毒性の強いプルトニウムが放出されています。どれだけの量の放射性物質が海に流れ込んだのか、そしてそれはどこへ向かっているのかについて私達はまったくわからない状態です。それに、日本は人口密度が高く、ベラルーシとは比較できません。また、日本では飲料水は山で採集されています。山が放射性物質を含んだ雲の拡散をせき止め、放射性物質は海岸沿いの狭い地域に溜まっています。9ヶ月で事故処理すると日本政府は言っていますが、まったく馬鹿げています。そんなことは空約束に過ぎません。

 
 デルテ・ジーデンドルフ女史は現在は退職した一般医で心理セラピスト。1990年よりチェルノブイリ事故で被曝したベラルーシの村々を定期的に回り、特に被害者に対する医療体制の改善に力を尽くして来た。ジーデンドルフ氏の組織は1991年以来、合計800人以上の子どもとその付添人を保養のためにドイツへ招待している。組織が所在するディーツェンバッハ市とベラルーシのKostjukowitschi市は姉妹都市となった。氏は国際組織「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)の会員でもある。69歳。
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