俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

ちひさきもの

2009-03-21 14:20:24 | Weblog
 日本人は道具を小さくすることが大好きだ。ラジオ、オーディオ機器、携帯電話などは日本のメーカーが小型化したと言って差し支え無かろう。
 自動車も小さくて燃費の良い製品をトヨタやホンダが作った。
 WBCの真っ最中の野球でさえ自らスモールベースボールと名乗っている。華やかだが水物のホームランではなく、ヒットとフォアボールに機動力を絡めて手堅く点を取り、堅い守りで最小失点に抑えて競り勝つのが日本式の野球だ。
 盆栽という世界に類を見ない文化も日本らしい。どの民族も木を大きく育てようとするが日本人だけが小さく育てた。日本人の心性は清少納言の言うとおり「ちひさきものはみなうつくし」ということなのだろうか。
 一方、日本人が大きな物を作ると必ず失敗するようだ。第二次世界大戦での巨大戦艦大和などはその典型だろう。作っている当事者がこんな陰口を叩いていたそうだ。「世界に3大無用の長物あり。エジプトにピラミッド、中国に万里の長城、日本に戦艦大和」と。実際、余り役に立たなかった。
 世界最大の面積を誇る伝・仁徳天皇稜も大失敗作だろう。普通なら王朝が代わっても誰の墓かぐらいは伝承される。始皇帝稜などはそうだ。しかし王朝が代わっていない(ということが通説)にも関わらず誰の墓なのか分からないのは余程、地元人民の怒りが大きかったからだろう。もし尊敬された人の墓なら地元の人がお参りを欠かさないだろう。

安重根

2009-03-21 14:08:26 | Weblog
 昨日(3月20日)の試合には勝ったが18日の試合では侍ジャパンは韓国の奉重根投手に抑え込まれた。この「重根」という名前は安重根にちなんだ名前と考えて間違いなかろう。
 安重根は明治の日本政府の要人・伊藤博文を暗殺した人物として歴史に名を残している。彼を英雄や義士と見るかテロリストと見るかは立場によって意見が分かれるところだが、奉重根投手にこの名を付けた両親に対しては良識を欠いた人と考えざるを得ない。
 息子にこの名を付けるということは「伊藤博文暗殺は正しい行為」であり「日帝による朝鮮の植民地支配を断固許さない」という政治的主張に他ならない。こんな名前を付けられた息子は可哀想だ。「反日」という名前を付けられたようなもので、日本人と友好的に付き合うことは難しくなる。
 とは言え、最近の日本人は歴史や地理を余り勉強していないので「安重根って誰?」とか「伊藤博文って誰?」とか言われるかも知れない。せめて「重恨」と書き間違えるようなことは無いように願いたいものだ。

定額給付金

2009-03-21 13:48:10 | Weblog
 定額給付金は今世紀最大の愚策だと思っている。こんなやり方で2兆円も使うよりマシなやり方は幾らでもあるだろう。とは言え個人として給付金を拒否するつもりは全く無い。国民としての権利を放棄する理由は無いし、痩せ我慢をする必要も感じない。
 このことに関して昨日(3月20日)の朝日新聞には奇妙な記事が掲載されていた。「経済気象台」というコラムの「定額給付金とモラルの退廃」という記事だ。6割が反対でありながら「受け取らない」と答える人が数%しかいないというアンケート結果に対して、筆者は「評価しないなら受け取らないのが筋であろう」と指摘しこれを「まさにモラルの退廃である」と決め付けていた。
 なぜ評価しないなら受け取ってはいけないのだろうか。なぜ権利を放棄すべきなのだろうか。
 こんな馬鹿げた理屈が通るなら、現在の年金制度に不満があるなら年金を拒否すべしということになり、失業保険制度に不満なら失業保険を受給してはならないということになる。制度に反対なら拒否すべしというのは政治的姿勢であり、政治的に無力な庶民に強制すべきことではない。現行法に従うことは決してモラルの退廃ではない。
 私はモータリゼーションには反対で、ドライブなどといったエネルギーの無駄遣いを断固許さない立場に立つが、物流でトラックの使用を禁止して大八車を使えなどと主張するつもりは無い。原則反対であっても必要なものは認められるべきだろう。
 ルールはたとえ不合理であっても守らざるを得ない。ソクラテスが言ったとおり「悪法も法」であり愚法も法であり誤法も法だ。法に従うことを「身勝手なご都合主義のいい加減な態度」と決め付ける朝日新聞の偏見に満ちた記事には呆れざるを得ない。とは言え所詮、蟷螂の斧のボヤキでしかないが。