俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

路上喫煙

2010-05-18 16:09:17 | Weblog
 最近、路上喫煙者が増えているように思える。世間ではマナーの問題として捕らえているようだが、これは18世紀のヴェルサイユ宮殿と同じく、施設の不備によるものだ。
 ヴェルサイユ宮殿は臭かったそうだ。トイレが無かったからだ。トイレが無いとなぜ臭くなるのか。トイレが無ければ庭がトイレと化してあちこちに糞尿が撒き散らかされた。言わば庭全体がトイレになってしまったのだ。トイレの掃除なら簡単にできても、広い庭を掃除するのは大変だ。賢い筈のフランス人がなぜこんな馬鹿なことをやったのだろうか。
 日本ではトイレではなく喫煙所が無くなった。全館禁煙のビルもある。こんな状況では喫煙者は路上へ逃れざるを得ない。屋内での喫煙を禁じられた夫がベランダへ出てホタル族になったのと同じ事情だ。
 僅か3割のマイノリティは7割を占めるマジョリティによって喫煙する権利を奪われてしまった。逃げる場所は路上しか無い。
 喫煙所を作ることこそ路上喫煙を減らす唯一の方法であるにも関わらず禁止一辺倒だ。これでは路上がヴェルサイユ宮殿の庭になってしまう。

喧嘩

2010-05-18 15:58:19 | Weblog
 喧嘩の強い人と弱い人が争えば強いほうが勝つ。しかし多くの場合、正義は弱い人のほうにあるだろう。弱い人は正義を諦め、暴力に屈するという二重の屈辱を受けることになる。
 弱い人は強い人と喧嘩などしたくない。負けることが分かっているからだ。それでも喧嘩をするのは余程の事情があってのことだろう。生命・財産などの安全が脅かされない限り、弱い人は喧嘩を仕掛けることは無いし、仮に仕掛けられても逃げるだろう。
 弱くない普通の人でも喧嘩は避けたい。痛い思いをするだけだ。もし喧嘩をするなら絶対に勝てる相手としかしたくない。少なくとも2mを超える大男や格闘技の選手とは絶対に喧嘩をしたくない。
 当たり前のことばかり書いたようだが、戦争ならどうだろうか。古代中国の兵法家の孫子は戦わずして勝つのが最善で、戦うなら勝てる相手としか戦うなと説いた。
 ということは戦争を仕掛けるのは強国か狂国しか無いということになる。日米戦争は狂国が仕掛けたのだろうか、それとも強国が仕掛けさせたのだろうか。

必要悪

2010-05-18 15:45:57 | Weblog
 市民(シチズン)は負担を嫌う。一番嫌な負担は兵役で、二番目は納税だろう。
 兵役は自由を奪うだけではなく命までも奪いかねない。だから最も嫌われる。
 納税は「命の次に大切な」金を奪うものだ。だから増税策は必ず反対される。その結果与党も野党も減税を公約に掲げる。
 ところで民主主義という仕組みは市民が主権を持つ。従って市民の利益が最優先される制度だ。それなら兵役と納税のような市民が望まないものがなぜ廃止されないのだろうか。必要悪だからだ。
 必要悪は受け入れざるを得ない。納税が無ければ国も自治体も成り立たない。兵士がいなければ武力によって強制的に併合されかねない。「平和、平和」と念仏のように繰り返しても平和になる訳ではない。
 必要悪を否定して兵役の廃止と減税を訴えるような政党はポピュリズム(人気取り政策)に過ぎない。年率10%の配当のような実現不可能なことを約束する詐欺師に等しい。高福祉を実現するためには財源が必要なことは子供にでも分かる。お役所の無駄遣いを無くしても足りなければ、議員および議員報酬の削減と増税しか無い。国債によるツケ回しなどサラ金での借金のようなものだ。