俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

誠意

2010-07-06 17:11:10 | Weblog
 参院選で民主党は沖縄選挙区に候補者を立てなかった。これは非常に誠意を欠いた態度だ。
 なるほど民主党は沖縄県民の期待を散々煽っておいて結局大いに失望させた。こんな状態で当選できる筈が無い。候補者は党本部とは違った主張をするだろうからマスコミの格好の餌食にされる。こんな事情で立候補を見送ったのだろう。
 しかしこんな時こそ誠意を見せるべきだろう。県民の期待を裏切らなければならなかった事情を誠実に説明すべきだろう。それとも説明できないほどお粗末な事情しか無いのだろうか。
 組織が誰かに迷惑を掛けた場合の対応は2つある。①誠意を持って対応するのがまともな組織で②逃げるのは悪徳業者だ。
 民主党のやり方は悪徳業者と同じだ。悪徳業者は被害者の指摘に耳を貸さない。被害者の声を無視する。被害者に対する説明責任を果たさない。
 善良な企業なら被害者の声を大切にする。至らなかった点を恥じて誠心誠意対応する。たとえボコボコに叩かれることが分かっているアメリカでの公聴会であろうとも社長自らが馳せ参じて誠意ある回答をする。
 民主党は沖縄県民に対して誠意を示さなかった。47都道府県の内の1県でしかないとして不戦敗を選んだ。沖縄に多大な負担をさせていると口先だけで詫びて、その実、軽視していることを自ら証明してしまった。
 他県民はともかく沖縄県民はこの悪徳業者のような民主党を未来永劫許すべきではない。政策で失敗したからではなくその事後処理で誠意を示さなかったからだ。

中国人研修生(2)

2010-07-06 16:54:39 | Weblog
 7月3日の朝日新聞の朝刊に中国人実習生の過労死に関する記事が出ていた。それによると実習生の時間外手当は時給400円だそうだ。研修生の相場の300円よりはマシだが、勿論どちらも違法だ。
 その記事の最後の一行に目を剥いた。「全国での研修・実習生の死亡は年々増加しており、08年は35人だった。」この異常な数字がさらりと書かれていた。
 記事によると「08年末現在で研修・実習生は全国で約19万人」で「08年に受け入れた研修生は約6万8千人」とのことだ。つまり毎年6万数千人が来日し、08年には35人が亡くなったということは死亡率0.05%!!2,000人に1人が亡くなっているということだ。最も元気な20代・30代でのこの死亡率の高さは米軍のアフガニスタンやイラク駐在兵並みではないだろうか。
 亡くなった蒋氏は直前の3ヶ月間、月93~109時間の残業を強いられていたそうだ。
 但し法的にはともかく、生物学的には死に至る充分条件とは思えない。私自身年間4,000時間以上働いたり100日以上続けて勤務したこともある。管理職だったから時間外手当は付かない。それでも結構平気だったのは精神的な要因だろう。人間は合理的動物ではなく心理的動物だということだろうか。

海岸

2010-07-06 16:34:31 | Weblog
 人類は猿類と共通の祖先を持つ。しかし人類と猿類は明らかに違う。人類が猿類と全く異なった方向に進化した理由については様々な仮説があるが、私は人類がかなり長い間森林から離れて海岸に棲息したからだと考えている。
 人類の祖先にとって海岸は快適な居住地だ。海の中には人類を襲う動物は鮫以外は殆どいない。肉食獣がウヨウヨいる地上よりも遥かに安全だ。
 もともと草食動物なので捕食力の乏しい人類の祖先でも簡単に捕えられる動物が海には沢山いる。貝は正しく「浜栗」だったのだろう。海岸に定住して草食から雑食に変わったのではないだろうか。因みに縄文遺跡の多くは貝塚と呼ばれている。有史以前の人類にとって貝は非常に重要な食物だったのだろう。
 四足歩行から二足歩行への移行も海岸生活を仮定すればそれほど困難なことではない。水の中では浮力が働くので無理無く二足歩行ができる。水中での二足歩行が地上での二足歩行を促した可能性は充分にある。
 毛の無い哺乳類は殆どが鯨やアザラシなどの水生哺乳類だ。ラッコやビーバーのように毛を失くさない哺乳類もいるが、水生になれば体毛は必ずしも必要無い。人類の頭にだけ毛が残っているのは、類人猿は水泳が苦手なために、水には殆ど潜らず水中を歩行していたせいだろう。
 今でも世界人口の約4割が海岸から100km以内に住んでいるそうだ。川や湖を含めればこの比率はもっと高くなる。
 もし海岸での生活が人類の進化を促したのなら海辺は人類の故郷だ。さざ波の音を聞いていると気持ち良く眠れるのはこんな歴史に基づくのかも知れない。