俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

人生80年

2010-07-13 16:34:13 | Weblog
 一生が80年とすれば、最初の20年は教育のために使われる。次の40年は現役世代として、最後の20年は老後として使われている。
 この最後の20年には最大5回死ぬ。まず60歳で社会人として死ぬ。次に生殖能力が死ぬ(女性の場合はもっと早い)。その次には自由に生きる能力が死に他者による介護が無ければ生きられなくなる。同じ頃には知力が死んで痴呆老人になる。そして最後に生物として死ぬ。
 人生60年の時代ならこの5つの死はほぼ同時に訪れていたから悩む暇など無かった。しかし人生80年の現代ではこの5つの死がジワジワと順次訪れる。自分の体が腐って行くのをじっと見つめているようなものだ。これでは長寿の楽しみは何も無い。
 1回目の死は個人にはどうしようもないことだ。企業や社会が勝手に決めることだ。2回目から5回目までの死をいかにして遅らせるかということが個人が取り組める課題だ。
 最後の20年は本来最も自由に生きられる期間の筈だ。年金の支給もあるのであくせく働く必要も無い。それにも関わらず、最初の社会人としての死で生き方を見失って何をやったら良いのか分からないまま時間を浪費してしまっている。何とも勿体無いことだ。

児童虐待

2010-07-13 16:15:29 | Weblog
 児童虐待について我々はマスコミを通じてイメージを持っている。継父や内縁の夫による虐待というイメージだ。
 2006年版の警視庁生活安全局の資料を見るとイメージとは随分違うということが分かる。虐待数が最も多いのは実母で96件、次いで実父が86件、以下養父・継父が56件、内縁の夫が52件、養母・継母が8件となっている。
 多分子供の9割ほどが実父母に育てられているのだから実父母による虐待が多いのは当然だが、こと殺人に限ると事情は異なる。実母34件、実父10件、内縁の夫3件、養父・継父2件と極端に実母のシェアが高いことに驚かされる。なぜこんなことになっているのだろうか。
 詳細なデータが無いので憶測でしかないが、2つの要因が考えられる。
 1つは母子家庭だ。実際に何人かの人を知っているが、母一人で子供を育てるのは大変なことだ。心中未遂で子供だけが死んだというケースも少なくなかろう。
 もう1つは後夫や内縁の夫に迎合するケースだ。丁度公判中の西淀川区での実娘衰弱死事件はどうなのかは分からないが、後夫や内縁の夫に嫌われたくないために一緒になって我が子を虐待するということは大いにあり得る。
 シンデレラ姫は継母による継子いじめがモチーフになっているが、このケースはどうやら余り多くないようだ。怖いのはやはり、虐待数において異常なほどにシェアの高い継父と内縁の夫だろう。子連れで再婚する女性は慎重に相手を選ぶ必要がある。夫による児童虐待だけではなく、自ら我が子を殺してしまうという最悪のケースも想定する必要がある。

中国史

2010-07-13 15:58:48 | Weblog
 中国史の本を読んでいてうんざりすることがある。王朝の末期がワンパターンだからだ。徳を欠いた皇帝が放蕩に耽り悪政を働き、過酷な徴税に怒った農民が新興宗教団体と協力して反乱を起こし国は大混乱に陥る。ここまでは全くワンパターンだ。その後は少し違う。易姓革命を成功させて権力を握るのは豪族や異民族であったりたまには山賊であったりする。
 歴史に学ぶ筈の中国人がなぜこんな同じ過ちを繰り返すのだろうか。権力を奪った側が歴史を書いているから歴史が歪められている。実は長期間の気温の推移を見ると王朝の衰退期には必ず気温が低下しているということが分かる。
 気温が低下すると海水の蒸発が減るので雨が少なくなる。これが飢饉を招く。飢饉になると納税が困難になる。新興宗教はこれを「皇帝が徳を失ったから天に見放された。易姓革命を起こさねばならない」と主張する。
 つまり本当の因果は①気温の低下②飢饉の発生③皇帝不信、の順番で起こっている。一方史書では①皇帝の徳の欠如②飢饉の発生③過酷な徴税、と解されている。
 王位を簒奪した側としては天災である「気温の低下」を理由に反乱を起こしたということでは革命を正当化できない。あくまで「皇帝が徳を失ったから飢饉が起こった。それにも関わらず過酷な徴税を改めなかった」という理由にせざるを得ない。
 権力の奪取を正当化するためとは言え因果関係はデタラメだ。