俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

寿命と進化

2010-09-24 16:25:08 | Weblog
 寿命の長い動物は世代交代に時間が掛かる。世代が変わらなければ進化は進まない。従って象や亀や人間は進化の遅い動物だと言える。 
 一方、最も世代交代が早いのは細菌などの単細胞生物だろう。10分ごとに分裂を繰り返す細菌もいるそうだ。こんなペースで世代交代が進めば、数時間で数十世代を経ることになる。
 有性生殖をする動物と比べて、無性生殖をする動物は進化しにくい。自分の突然変異だけに頼る無性生殖は、他者の変異も含めて進化する有性生殖よりも進化のシステムとしては劣っている。
 しかしたとえシステムとして劣っていようとも、恐ろしい早さで世代交代を繰り返せば下手な鉄砲も数打てば当たる訳で、大量の無駄死にを踏み越えてどんどん進化する。
 新型耐性菌が恐ろしいのはこんな事情があるからだ。たまたま抗生物質が効かない変種が現れたらそれが生き残って増殖を続ける。
 人間の数億倍の速度で世代交代が続けば、人間の進化が追い付かないのは勿論、文明の進歩の速度でさえ全然適わない。
 細菌の進化の速度に人間は勝てない。負けないためには抗生物質の使用を極力抑制することによって新型耐性菌をこれ以上増やさないように努めるしか無かろう。

大奥でのリストラ

2010-09-24 16:07:38 | Weblog
 8代将軍吉宗は享保の改革で大奥のリストラを断行した。部下に命じて大奥の美女中の美女50人を厳選させて、それ以外の全員をクビにした・・・・・のではなく、この厳選された美女50人を追放した。その理由はこの50人なら大奥を出てもすぐにでも玉の輿に乗れるからだ。
 多分このリストラは世界史上最も良心的なリストラだろう。さすが名君と褒め称えたくなるほどの善政だ。
 翻って現代の日本を見ればリストラで狙われるのは再就職が最も困難な高齢者だ。最も長く会社に貢献した功労者が狙い打ちにされる。これは年功序列制度による賃金の後払いの約束を反故にするので詐欺紛いの酷いやり方だ。
 もし徳川吉宗が現代日本の経営者だったら、中堅・若手の最も有能な人材を選び、経営状態が良く将来性もある取引先への転職を斡旋するだろう。その際、もし斡旋先が倒産した場合には元の会社に戻れるという条件まであれば万全だろう。
 中小企業や知名度の高くない企業は常に人材難に悩んでおり、喜んで人材を受け入れるだろう。こうすれば転職を余儀無くされた人は会社を恨むことも自信を失うことも無く、新旧両企業の橋渡しとなって両者の業績向上に貢献するだろう。
 経営者はもっと歴史から学ばねばならない。こんな模範的リストラ策が歴史に残っているのに、リストラ経営者は不勉強なのでこの史実を知らないだろう。
 取巻き連中とゴルフに興じている暇など無い。時間の掛かるゴルフなど止めてジョギンギか水泳を始めれば時間に余裕ができる。この時間を生かして勉強すべきだろう。

restructure

2010-09-24 15:51:42 | Weblog
  restructure(再編成、再構築)をせずにリストラ(クビ切り)をする経営者こそリストラされるべきだ。
 restructureの具体策としては外部委託していた業務を自社でやることなどが挙げられる。例えば宣伝・広告という業務は自社の担当者がいながら少なからず広告代理店に丸投げにされている。増員した上で丸投げを減らせば宣伝・広告費を削減できる。
 メーカーなら他社から仕入れていた部品を自社で造れば人員を有効活用できる。
 ショッピングセンターなら、テナントに販売を任せている売り場を自社の社員による販売に切り替えれば粗利益が増える。 
 元々民間企業の売上高人件費比率は10%程度でしか無い。10%でしか無い人件費を2割削っても経費は2%しか減らない。これではむしろ人件費削減によるモラールの低下が招く減収のほうが影響が大きいのではないだろうか。もし収入が10%減れば収支は改善どころか大きく悪化する。
 restructureによって収支構造を変えれば支出を1割・2割削減することも可能な筈だ。restructureができない経営者とは現場を知らない経営者だ。つまり上ばかりを見て横も下も見ずに地位を獲得したクズ経営者だろう。
 restructureをする能力の無い無能な経営者がリストラに頼る。どうrestructureをすれば良いのか分からないから馬鹿の1つ覚えでリストラに励む。彼らはrestructureの意味を故意に歪めて使用することによって自らの無能さを糊塗しようとしている。