俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

宝くじ(3)

2010-12-21 16:12:36 | Weblog
 年末ジャンボ宝くじのテレビCMがしばしば放映されている。民主党による事業仕分けで宣伝費の無駄が多いと指摘されたにも関わらず聞く耳を持たないようだ。宝くじ事業として利益を出しているのだからつべこべ言うなというスタンスなのだろう。
 私は宝くじは詐欺の一種だと考えている。世界に類を見ない50%未満の配当率のギャンブルなど本来成り立つ筈が無い。この事業が成り立っているのは国と自治体がギャンブルを独占しているからでしかない。もし民間に開放したらもっと配当率を高めて売り上げを増やし、同時に無駄を削って今よりも収益性の高い事業にするだろう。
 現在の宝くじは確率計算のできない頭の悪い人から搾取するシステムでしかない。宝くじの愛好者の平均知能指数は90未満ではないだろうか。これでは認知症の老人を騙す悪徳金融業者のようなものだ。事業を独占してボロ儲けをして無駄遣いをし放題なのだから役人にとってこんな美味しい事業は無い。
 いっそのこと宝くじの目的を明確にしたらどうだろうか。昔は寺社の改築などを目的として富くじを民間が扱っていたが、その考え方を復活させるのだ。年金宝くじとか子ども手当て宝くじとか科学振興宝くじとか、目的が明確であれば当たらなくても悔しくない。年金や子ども手当てや科学振興に寄付したと考えて自分を納得させることができる。こうすれば国民が必要と考える事業の宝くじは良く売れて、不必要な事業の宝くじは売れないから民意を測ることにもなる。国債に代わる新たな財源として検討してみる値打ちはあると思う。

死亡税

2010-12-21 15:58:10 | Weblog
 相続税が増税されることになった。これによって相続税を負担する家庭が大幅に増えることになる。
 金持ちの政治家や官僚やマスコミの人達は金持ちの生活しか知らないから相続税に疑問を持たないのだろうが、これは変な税制だ。
 母親と息子夫婦と孫が同居している家族を想定して欲しい。ここには原始共産社会に近い共同体がある。資産は共有され相互に助け合っている。しかし母が死んだ時に何が起こるか。相続税を支払うために家を手放さねばならなくなる。共有されていた筈の資産が亡くなった母の資産とされてそれを継承するためには相続税を支払わねばならない。これでは相続税ではなく死亡税だ。
 別居の親の死後に財産を相続するのならそれに課税しても構わない。棚からボタ餅のようなものだからだ。しかし同居の家族の共有財産に対する課税は死亡税としか思えない。
 こんな事態を避けるためには息子は母親名義の借金を増やすことに励まざるを得ない。介護費用を母親名義の借金にする。家屋の修繕費も母親が借金をして負担する。飲食光熱費も何もかも母親名義の借金にしてしまう。こうやって母親を借金まみれにして相続税と相殺することが相続税逃れのテクニックになるだろう。相続税は親孝行を否定し親不孝を奨励する。家族共同体という美風は相続税によって破壊されてしまう。

運動能力

2010-12-21 15:41:30 | Weblog
 生まれてからずっと暗闇で育てられた動物は視力を失う。つまり視神経が発達しないので光を感じる能力を失う。
 幼児のうちに言葉を覚えなければ言葉を使う能力が著しく損なわれるらしい。このことは人体実験ができないので証明できないが、不幸な実例が多数存在することから事実と考えられる。
 運動能力も知的能力も子供のうちに基礎が築かれる。基礎が不充分ならその後に通常レベルの能力を獲得することは殆んど不可能だろう。
 子供の運動能力の低下は危険なことだ。単に子供の能力の低下といった短期的な問題ではなく、将来の運動能力の低下を伴うからだ。多少運動能力が低くても成年期にはさほど問題にはならない。問題は老後だ。運動能力の低い人が老化すれば身体障害者になってしまう。つまり現在の子供の運動能力の低下は将来の寝たきり老人の増加を招く。
 これは杞憂ではない、必然だ。運動能力の低い人は運動を好まないから益々運動機能が衰える。運動不足が運動機能の劣化を促し続けて、動かない人が動けない人になってしまう。
 今、文部科学省が最優先で取り組まねばならないことは小中学生の体力の向上だろう。厚生労働省も将来のことを考えて全面的に協力すべきだ。イギリスには「政治屋は次の選挙を、政治家は次の世代のことを考える」という格言があるが、次の次の世代のことまで考えて、動きたがらない子供達を無理やり動かせるために体育の授業時間を増やすことが急務だと思われる。