俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

議員報酬

2011-03-01 16:03:36 | Weblog
 大阪府議会では奇妙なことが起こっている。何と全会派が月93万円の議員報酬の30%削減を主張している。4月の府議選を睨んだ動きだろうが変な話だ。
 30%削減で同意しているのなら共同提案すれば良いと思うのだがバラバラになっているのはホンネとタテマエが分離しているからだ。
 大阪維新の会と共産党は恒久的に30%削減を提案している。但し共産党は月59万円の政務調査費の15%削減を付け加えている。
 民主党・自民党・公明党は1年間だけの30%削減を主張している。政務調査費については、民主党は15%削減、自民党は削減無し、公明党は50%削減を主張している。
 大阪維新の会以外のホンネは議案の共倒れ狙いだろう。
 維新の会は自会派の提案が否決されたら他会派の総ての案に賛成する方針を示しているが、他の会派は多分、自分の会派の案にしか賛成せず、その結果としてどの案も過半数に満たずに否決されるということになるだろう。
 橋下知事が30%削減を提案して府民の支持を得ているだけにそれに反対すれば4月の府議選で惨敗することは必至だ。そのためにこんな姑息な戦略を練ったのだろう。要するに高額な報酬を減らしたくないがかと言って落選するのはもっと嫌だという事情から報酬を減らすことに賛成するポーズを取っているに過ぎない。つまり30%削減を提案したが他の会派が反対したから成立しなかったという言い訳をするだけのためにこんな大同小異の提案をしている。全くの猿芝居だ。

野生動物保護

2011-03-01 15:49:55 | Weblog
 熊や猪は体が大きくて力が強くて足も早い。生存競争においては有利な筈の条件を備えているが、人間が絡むと事情が変わる。熊や猪は危険な動物と見なされて駆除されてしまう。人間よりも強いということが却って生存を脅かす。
 野生動物でも狸や兎なら駆除されない。明らかに人間よりも弱いからだ。
 ワシントン条約でアフリカ象の取引が禁止されたことによってアフリカ象が激減した。なぜ野生動物を保護する筈の条約が逆の結果を招いたのか。
 取引が認められている間はアフリカ象は資産として大切にされた。生きた象は動物園やサーカスなどに高く売れたし、死んでも象牙は高値で取引できた。
 ところが取引が禁止されるとアフリカ象は厄介者でしかない。温厚な草食獣ではあるが何しろあの巨体だ。畑を踏み荒らすこともあるし時には人を襲う。輸出できないアフリカ象は危険な害獣でしかない。保護する理由が無くなれば駆除対象になってしまう。
 商業捕鯨の禁止以来コクジラなどの小型のクジラが激増している。増えた小型のクジラが餌を食い荒らすために大型のマッコウクジラやシロナガスクジラなどは餓えに苦しんで絶滅の危機に瀕しているそうだ。
 西洋人の保護政策はどこか抜けている。机上の空論であることが少なくない。問題を単純化し過ぎるせいだろう。

泳げないイルカ

2011-03-01 15:33:24 | Weblog
 イルカは本能に基づいて泳いでいるのではないようだ。
 魚なら生まれたらすぐに泳ぎ始める。稚魚が溺れるということはあり得ない。しかしイルカは訓練しないと泳げないらしい。
 経緯は知らないがイルカの赤ん坊が保護された。職員がプールに入れたところ何と沈んだまま浮かんで来ない。イルカは鼻孔を使って肺呼吸をするので危うく溺死するところだった。まさか泳げないイルカがいるとは誰も思わなかっただろう。
 この泳げないイルカを生かすために彼らは浮かぶための補助器具を作った。胴体を発泡スチロールのような物で巻いて更にブイを付けて浮力を高めた。まるで浮き輪に掴まっている子供か歩行器でヨチヨチ歩きをする幼児のような姿だった。
 この泳げないイルカは浮上補助器に頼って浮かんでいたが何日目かには尾鰭を使って動き回るようになり、その後、補助器の助けを借りなくても泳げるようになった。今では普通のイルカと同様に水中からのジャンプなどの芸を見せている。
 イルカはカバの仲間から進化した哺乳類だ。従って泳げないイルカがいても不思議ではない。それにしてもあれほど水中を自由に泳ぎ回る水の申し子のようなイルカが後天的に水泳を修得せねばならないとは驚きだ。
 イルカは本能ではなく後天的に修得するからこそあれほど自由に楽しそうに泳ぐのだろう。昆虫に代表される本能に支配される動物には自由が無い。生命を持った自動機械のようなものだ。
 人間は教わらなければ歩くことも話すこともできない。二足歩行も言語も本能ではない。本能に支配されないからこそ人間には自由の可能性がある。本能からの離脱こそ高等動物の証だ。