俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

決死隊

2011-03-22 16:02:09 | Weblog
 福島第一原発では多くの人が命懸けで働いている。自衛隊、消防隊、そして電力を復旧させようとしている東電従業員および関係者の方々。それと比べて東京で安穏に暮らし多分神頼みさえしていない東京電力の患部、じゃなかった幹部には腹が立つ。
 テレビで見ていて決死隊の多くが20代の若い人であることが気になった。こんな仕事こそ老人がやるべき仕事ではないだろうか。 
 多分、多くの人が気分を害する乱暴な主張だとは思う。しかし決死の仕事は老い先短い老人に任せても良いのではないだろうか。これから子作りや育児に励む若い世代ではなく既に授精能力さえ失った老人に任せたほうが合理的ではないだろうか。
 放射線被曝によって10年後に亡くなるという縁起でもないことを想定するなら、30歳の人なら平均寿命の80歳まで40年を残して死ぬことになる。60歳の人なら10年寿命が短くなるだけで済む。
 引越しや大掃除で一張羅の服を着る人はいない。もう捨てても惜しくない古着を使うだろう。命懸けの仕事に将来がありまだ人生を充分に満喫していない若者を使うべきではないと私は大真面目に考えている。
 しかしこれは机上の空論かも知れない。自衛隊の放射能防護服は鉛などを縫い込んでいるために22kgもあるそうだ。こんな重い服を着たら老人は機敏には動けない。危険性が増すことになるかも知れない。

空白域

2011-03-22 15:45:16 | Weblog
 朝日新聞には震災の被災地図が毎日掲載されている。この地図には奇妙な空白域がある。福島県の南相馬市からいわき市の間の約60kmには僅か2ヶ所しか被災地が無い。その2ヶ所とは福島第一原発と第二原発だ。
 本当に被災していないのなら喜ばしいことだが実際には今なお情報さえ集まっていないのではないだろうか。
 阪神・淡路大震災の時、しばらくの間、神戸の震度が不明のままだった。発生から数時間経ってから震度7が表示されたと記憶している。このように本当に酷い被災地の情報は届きにくい。
 今回の震災発生から10日以上経っても情報が集まらないのはなぜだろうか。住民の多くが避難したからだろうか。それ以上に原発事故のせいで救援隊が立ち寄れないからだろう。そのために福島県の安否不明者数は歪に多い。この地域の被災者は見捨てられた。
 この空白の60kmが本当に被災地でないのなら原発施設は一般家屋よりも脆弱であったということであり、被災地であるならこの地域は原発事故のせいで見捨てられているということになる。憶測で語りたくない。正しい情報が欲しい。
 農作物の放射性物質汚染は福島県だけではなく茨城・栃木・群馬・千葉にまで広がっている。放射能汚染は政府の発表よりも酷いのではないかと不安を感じる。
 しかし私は汚染された農作物を積極的に購入してよく洗ってから食べたいと思っている。貴重な農作物を廃棄したくない。自衛隊や消防隊の方々が浴びた放射能と比べたら微々たる量だ。人に勧める気は全く無いが、これぐらいの犠牲なら自らの意志で受け入れたい。

復旧作業

2011-03-22 15:28:43 | Weblog
 東京電力は電気系統の復旧に躍起になっているが「なぜ今頃になって」と思うのは私だけではあるまい。復旧作業の重要性を疑う訳ではない。電気系統の安全システムが復旧しなければ原発は危険な状態のままだ。しかし12日に1回目の爆発が起こる前、あるいは14日に2回目の爆発が起こる前に今と同じぐらい本気で取り組んでいれば遥かに安全に簡単に復旧できた筈だ。
 水素爆発や火災を起こし、更に海水浸しになった設備の大半は使い物にならないだろう。こんなボロボロになってから復旧しようとするよりも初期に適切に対応していれば被曝の危険性も遥かに少なかった筈だ。
 邪推でしかないが東京電力の幹部の面々は12日と13日の土日は休日だったのではないだろうか。事態の深刻性を理解せずに現場任せにして休んでいる間に事態がどんどん悪化して手を付けられない状態になってから大慌てで復旧を厳命しているのではないだろうか。 
 当初からちゃんと復旧作業に取り組んでいれば放射線の中で、放水作業を中断させてまで復旧作業を急ぐ必要は無かっただろう。
 自衛隊や消防隊の発表は具体的であり現場の状況が良く分かるが、東京電力による発表は抽象的で誤りも多い。今でもまだ状況を把握していないのではないだろうか。18日中に電気系統を復旧させると発表したが22日現在まだごくごく一部しか復旧できていない。それどころか今頃になってから部品を発注しているという不手際ぶりだ。通電実験による事故まで起こしているようだ。全く泥縄仕事だ。