俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

休載のお知らせ

2016-02-21 08:58:16 | Weblog
 明日(22日)から入院するためしばらく休載します。今回の入院は抗癌剤による治療だけですので1週間程度で退院できる予定ですが、薬の副作用で心身共に少なからぬダメージを受けると予想されるため、再開日は未定です。

良性と悪性

2016-02-21 08:49:40 | Weblog
 明日(22日)から入院する。今回は第一回目の抗癌剤治療で1週間程度で退院する予定だ。
 食道の腫瘍が良性か悪性かは今のところ分からない。どうしても知りたければ内視鏡を使って腫瘍の一部を切り取って調べることもできるかも知れないが、既に確定している事実を知っても殆んどメリットは無い。むしろ内視鏡の事故や切ると暴れると言われている癌細胞の反応によるデメリットのほうが大きいだろう。
 良性か悪性かによって治療方法の選択は変わり得る。しかし私の場合、どちらであれ選択の余地は無い。固形物を食べられるようにすることが差し当たっての課題だからだ。
 手術という選択肢は早い段階で消えた。内視鏡手術が可能なレベルではないとのことだから開腹手術しか無い。ところが食道癌の開腹手術の死亡率はかなり高い。30日以内で5%、90日以内で15%と言われている。広く切開するだけに後遺症も少なくない。良性であれ悪性であれ、挑戦に値する手術とは思えない。
 残された治療法は放射線と抗癌剤だ。どちらも有害な治療法と分かっているが贅沢を言っていられる状況ではない。肉を切らせて骨を切るぐらいの覚悟での相討ち狙いしかあるまい。
 呆れるほど不確定要素ばかりだ。放射線や抗癌剤の治療効果は個人差が大きくどの程度効くか、あるいはどれほどの副作用に苦しめられるか全く予測できない。腫瘍が良性か悪性かも分からない。確かなことは腫瘍があって固形物が食べられないということだ。唯一確かである腫瘍の存在に対処することだけが今の私にできることであり、腫瘍を縮小させるためなら我儘など言っていられない。私は抗癌剤による延命効果など期待していないから、腫瘍が小さくなって固形物が食べられるようにさえなれば満足する。
 勿論、私とて良性腫瘍であることを願っている。しかし現実は願望より優先する。手を尽くした末、良性であれば喜び、悪性であれば諦めれば済むことだ。分からないことをくよくよ考えても仕方がない。分かっていることに基づいて最善策を考えるだけだ。分かっている情報だけが頼りであり、分からないことについてはできるだけ情報を集めた上で、試してみるしか無い。放置して餓死する訳には行かない。

原因不明

2016-02-21 07:43:43 | Weblog
 原因が分かれば対策を立てられる。たとえ複数の複雑な原因が絡み合っていても、どれかを改善することによって幾らかは改善できる。例えば企業の業績低迷の原因は多数あるだろうが、重要と思える弱点を克服できればほぼ確実に向上することが期待できる。
 しかし原因が分からない場合、あるいは分かっていても手を付けられない場合、小手先の対応をしても解決には至らない。例えばJR北海道は構造的な問題点を抱えているから、事故や不祥事を防止することは難しい。
 同じことが医療についても言える。原因が特定されれば医療はそれに対応できる。しかし原因が特定できる病は余りにも少ない。怪我と感染症と欠乏症と中毒ぐらいしか無いのではなかろうか。中には風邪などのウィルス性疾患のように原因が特定できても対処できない病もある。ウィルスは生物ではないから病原菌や寄生虫のように殺すことはできないからだ。
 癌と精神病は原因不明の病気だ。無数の発癌物質が列挙されているのはその原因が分からないという意味だ。中には石綿と中皮腫のように因果性が分かっている癌もあるが原因が分かっても治療できる訳ではない。
 原因が分からない時、医療はどう対応するか?お決まりのパターンになる。対症療法によってその場凌ぎをする。頭痛に鎮痛剤、下痢には下痢止めといった治療効果の無い薬でお茶を濁す。
 しかし原因が分からない病を治療しようとすれば却って悪化させる。かつて精神病の治療法としてロボトミー手術が脚光を浴びノーベル医学賞まで受賞したが、これは人間性を破壊するとんでもない医療だった。現在は抗精神病薬に頼っているが、抗鬱剤の副作用が鬱病の誘発であるように、抗精神病薬の多くが「向精神病薬」だ。
 原因が分からない病に対する治療は期待できない。原因が分かるまでは対症療法に徹するべきであり、分かったという思い込みに基づくオカルト的な医療は却って患者を不幸にする。