俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

懲役刑

2016-07-07 09:53:09 | Weblog
 懲役刑の費用は税金によって賄われているが呆れるほど高コストだ。一人当たり400~500万円掛かっていると言われている。これほど高コストになったのは「人権派」弁護士の活躍に負うところもあろうが、考えてみれば当たり前のことだ。囚人生活は総てが保証されているホテル住まいのようなものだ。住居も食事も娯楽も国によって提供される。かつては「臭い飯」と言われた食事も改善され今では栄養バランスの取れた健康メニューになっているらしい。医療に至ってはホテル以上のレベルだろう。これは獄中での病死を防ぐためであり、多分、囚人の疾病率や死亡率は善良な市民よりも低いだろう。
 看守の人経費も大きい。看守は収容所の警察官であり同時に教官でもある。特殊な場所での危険を伴う仕事だからその報酬は決して低くない。必要な看守数を確保するためにはそれなりに高い報酬によって報いる必要がある。
 施設は堅牢でなければならない。囚人の大半が荒くれ男だから多少乱暴に扱ったぐらいで壊れては困る。脱獄を防ぐための特殊な設備も必要だろう。
 余り触れてはならないことだが、囚人の半数以上が知能指数80未満だと言われている。昨今の高齢化もあり認知症を患っている囚人も多いようだ。勿論、異常人格者も収容されている。精神病患者は本来なら処罰されない筈だが多少凶暴な程度の人格異常者であれば文句無しに刑罰の対象になる。
 死刑囚は死刑執行施設が併設される拘置所に収容される。拘置所の看守の仕事は一般の収容所以上に過酷だ。年に数回執行される死刑においては所員総出で対応する。最期まで必死で抵抗する死刑囚がいるからだ。死にたくない死刑囚は文字通り命懸けで抵抗して火事場のクソ力に匹敵する物凄い力を発揮する。彼らを押さえ込むことは容易ではない。ある死刑囚は、絞首台に運ぶ時点で既に半殺しの状態だったそうだ。そうしなければ絞首台に運べないほど暴れたからだ。
 その反面、死刑執行までの死刑囚は大切に扱われる。拘置所は死刑を執行するための収容施設なのだから病死や自殺があれば任務を全うできなくなる。それを防ぐために様々な配慮がされている。死刑囚一人のための費用は年間1千万円を超えているのではないだろうか。
 懲役囚の収容は公務員の雇用と同程度の負担になり、死刑囚はそれ以上だ。市民の目には全く触れないから問題化されないが、費用だけを見れば、国は犯罪者を国家公務員として雇っているようなものだ。
 中国では毎年数千人が死刑にされていると言われている。日本とは違って彼らの処刑は速やかに実施されるから国庫負担は最小限になる。しかしこのことの是非はこんなレベルで問われるべきではなかろう。