国の資産

　国際情勢が不安定になると円高になる。その度にマスコミは「比較的安全な通貨とされる円が買われた」と報じる。このことによってマスコミは自ら嘘つきであることを認めているようなものだ。マスコミは常日頃、借金が1000兆円を超える日本の財政は危機に瀕していると言い触らしている。破綻しそうな国の通貨が安全であることなどあり得ない。マスコミは二枚舌で国民を欺いている。
　かつては「有事のドル」と言われた。国際情勢が不安定になれば基軸通貨の米ドルと金が高騰したものだ。今ではそれらを抑えて日本円が高騰する。これは国際社会が米ドルや金よりも日本円のほうが安全と見なしているからだろう。ではなぜ日本円が安全通貨なのだろうか。
　資産には正と負の両面がある。1000兆円の借金は負の側面だ。では正の側面、つまり国の資産はどれぐらいあるのだろうか？驚く勿れ、何と650兆円もある。しかもその内450兆円は金融資産だ。だから本当の負債総額は半分以下になる。それだけではない。日本国民の金融資産は1700兆円もあるらしい。国の借金が1000兆円あろうとも国の主権者の国民が1700兆円もの金融資産を持っている。だからこそ日本円が安全通貨と評価されるのだろう。
　借金の多さを騒ぎ立てるのは主に財務省とその手先だ。彼らが借金を騒ぎ立てるのは増税を正当化するために他ならない。私のような素人でも知っていることをマスコミは無視して「日本は危ない」と騒ぐ。これは彼らが阿呆なのかさもなくば財務省の走狗に堕しているからだろう。
　喜んで恥晒しをしている省庁がもう１つある。農林水産省だ。食料自給率が40％しかないことなどを根拠にして日本の農業がいかに脆弱であるかを訴え続けているが、日本が世界で５位の農業大国であることには絶対に触れない。これは農業に対する補助金を更に拡大するためだ。省益のためなら形振り構わない。増税するために借金騒ぎを演出する財務省と共にマッチポンプであり悪の双璧だ。
　事実として、日本円は安全な通貨であり財政は破綻などしていない。やろうと思えばすぐにでも可能なのにそれを意図的に怠っているだけだ。
　とは言え、毎年歳出が歳入を上回ることは好ましくない。財務省は歳入増つまり増税により均衡させようとしているが、歳出削減つまり無駄遣いの抜本的見直しこそ必要だろう。明らかに無駄な医療費は沢山ある。ウィルスが原因で発症する風邪症候群に対する抗生物質の投与や「呼ぼう医療」と揶揄されている贋生活習慣病患者に対する「予防医療」など医療の現場は無駄の温床だ。これらと同時に老人に媚びるシルバー民主主義を見直すだけで数兆円が削減可能だ。財務省・農水省・厚労省は悪の巣窟だ。
　知ってか知らずか分からないが、マスコミは明らかに増税の片棒を担いでいる。特に消費増税は富裕層を利する税制改悪でありこのことは周知されるべきだろう。こんな悪辣な歳入増に頼るのではなく歳出削減が目論まれるべきだ。