今日は参議院選挙の投票日だ。各候補者は実現するつもりの無い公約も含めて空虚な言葉をバラ撒いていた。その中には、実現しては困る公約もある。最低賃金の値上げや保育士や介護士の賃上げだ。与党も野党も公約に掲げるがこんなことが実現すれば失業率は却って上昇するし人的サービスも低下するだろう。労働市場は単価×人数だから単価が高くなれば人数が減らされる。食料品の単価が高くなれば量を減らすのと同じことが労働市場でも起こる。
人事部などの管理部門に所属したことは無いが、20年以上管理職を勤めたから中期・長期の計画は毎年の仕事だった。その際の人員計画は生産性から逆算される。特殊な場合以外、人員増による増収は殆んど見込まない。それは新人が戦力として不充分だから却って組織の足を引っ張るかも知れないからだ。まず現有人員のままでの成果を試算してその余剰分を食い潰すという前提で増員計画を作成した。増員による増収は2年目以降に初めて見込んだ。
収支予想で1千万円の余裕があれば人員増はその範囲に留める。一人当たりの人件費を2百万円とすれば5人、3百万円とすれば3人、5百万円とすれば2人が総枠になる。私の部署だけではなく全社で同じような計画を立てて人員計画を作成し人事部では新給与に基づいて採用計画を練った。積極的過ぎる人員計画を提出して人事担当者から問い詰められたこともあった。
民間企業はお役所とは違って「入るを以って出ずるを制す」が大原則だ。だから企業は収入に見合う支出しかできない。他に削減できる経費が無い場合、人件費単価が上がれば人数を減らさざるを得ない。これが日本中で行われれば、賃金の上昇は雇用数の減少を招く。
こんなことが国際レベルで行われたから労働集約型の産業は海外へ流出した。賃金が高騰した国内での事業を諦めたから工場は中国やフィリピンやインドネシアなどに移転し、更にバングラデシュやミャンマーにまで広がった。国内市場が比較的大きい小売業以外の労働集約型産業は海外に拠点を移さざるを得なかった。
滞在型の介護施設であれば海外移転が可能だ。しかし保育施設は国内しかも住居か職場の近隣でしか営業できない。人件費単価が上がれば職員の人数を減らすか最低賃金で例外扱いが認められる外国人労働者に頼ることになる。
市場に自由裁量が認められれば「神の見えざる手」によって適正値に落ち着く。しかし国家権力がルールを定めれば裁量権が制限される。和民やすき家の例からも分かるように、企業は施設や店舗を運営するために様々な無理を重ねる。国家権力が無知に基づいて妙なルールを定めるほど労働環境は悪化させられる。政治家は労働市場全体を見渡せるほど賢くないから彼らの作るルールが労働市場を破壊していることに全く気付かない。
企業は決して安価な労働力だけを求める訳ではない。良い人材であれば優遇して継続雇用しようとする。最近ではどこの企業でも学生アルバイトにまで給与査定をして少しでも良い人材を得ようとしている。最低賃金が上げられれば企業によるこんな選別が難しくなる。
人事部などの管理部門に所属したことは無いが、20年以上管理職を勤めたから中期・長期の計画は毎年の仕事だった。その際の人員計画は生産性から逆算される。特殊な場合以外、人員増による増収は殆んど見込まない。それは新人が戦力として不充分だから却って組織の足を引っ張るかも知れないからだ。まず現有人員のままでの成果を試算してその余剰分を食い潰すという前提で増員計画を作成した。増員による増収は2年目以降に初めて見込んだ。
収支予想で1千万円の余裕があれば人員増はその範囲に留める。一人当たりの人件費を2百万円とすれば5人、3百万円とすれば3人、5百万円とすれば2人が総枠になる。私の部署だけではなく全社で同じような計画を立てて人員計画を作成し人事部では新給与に基づいて採用計画を練った。積極的過ぎる人員計画を提出して人事担当者から問い詰められたこともあった。
民間企業はお役所とは違って「入るを以って出ずるを制す」が大原則だ。だから企業は収入に見合う支出しかできない。他に削減できる経費が無い場合、人件費単価が上がれば人数を減らさざるを得ない。これが日本中で行われれば、賃金の上昇は雇用数の減少を招く。
こんなことが国際レベルで行われたから労働集約型の産業は海外へ流出した。賃金が高騰した国内での事業を諦めたから工場は中国やフィリピンやインドネシアなどに移転し、更にバングラデシュやミャンマーにまで広がった。国内市場が比較的大きい小売業以外の労働集約型産業は海外に拠点を移さざるを得なかった。
滞在型の介護施設であれば海外移転が可能だ。しかし保育施設は国内しかも住居か職場の近隣でしか営業できない。人件費単価が上がれば職員の人数を減らすか最低賃金で例外扱いが認められる外国人労働者に頼ることになる。
市場に自由裁量が認められれば「神の見えざる手」によって適正値に落ち着く。しかし国家権力がルールを定めれば裁量権が制限される。和民やすき家の例からも分かるように、企業は施設や店舗を運営するために様々な無理を重ねる。国家権力が無知に基づいて妙なルールを定めるほど労働環境は悪化させられる。政治家は労働市場全体を見渡せるほど賢くないから彼らの作るルールが労働市場を破壊していることに全く気付かない。
企業は決して安価な労働力だけを求める訳ではない。良い人材であれば優遇して継続雇用しようとする。最近ではどこの企業でも学生アルバイトにまで給与査定をして少しでも良い人材を得ようとしている。最低賃金が上げられれば企業によるこんな選別が難しくなる。