コロナ禍で自粛、規制が繰り返されているが、未だに検査体制や休業補償などがしっかりと確立されていない我が国である。はたして、他の国ではどうなっているのか?最近、オーストリア在住の日本人画家が寄せてくれたレポートを読んだ。その概略を記す。
「まずは検査について、去年の12月に初めての大規模コロナ検査が行われて以降、いつでもどこでも無料でコロナ検査ができる体制が本格的に整った。ロックダウン解除に伴い、飲食店入店の際にはコロナ検査の陰性証明書かワクチン接種済み証明書、またはコロナ感染後に回復したことを示す証明書の提示を求められる。これらを忘れた場合は、10分程度で判明する抗原検査を店頭で受けられる。政府が各飲食店に検査キットを配っているのだ。また、ワクチン未接種のオーナーと従業員にも週4回の自己PCR検査を義務にしており、大量のキッドが配布されている。
小~高校までの子どもたちは週3回の抗原検査が義務づけられており、校門わきに設けられた場所で検査を受ける。陰性が出ると貰える忍者のイラストのシールをスタンプカードに貼っていく。まるで夏休みのラジオ体操のスタンプカードみたいなものであるが、これが、子どもたち用の飲食店入店の証明書にもなっている。また、近くのドラッグストアでPCR検査キットが配布され、一週間分として一度に4つのキットが配布される。なので友人と会う際や、仕事などのミーテイングで他人と会う時、または特に理由がなくてもとりあえずの検査が可能である。私の周りでは、行楽や会食で集まる前に検査することがエチケットになりつつあり、引っ越しを手伝った際に駆けつけた者全員が事前のPCR検査を済ませていた。このように私たちの日常に”検査”だ。
補償については、職業別の給付金や苦難基金、損失・売り上げ補償や固定費補償など、ありとあらゆる種類の援助金が支払われ続けている。特に芸術業界やイベント業界への補償は手厚い。日本で有名なウイーン少年合唱団は1億2000万円以上の損失補償を受け、小劇団から大きい楽団までカバーされる。例えば私のようなフリーランスのアーテイストや、音楽家、DJ、舞台俳優などへは、毎月12万円の給付金と6ヵ月続いたロックダウン中はロックダウンボーナス約8万円。ロックダウン解除の今でも月に8万円が支払われ続けている。
オーストリア政府は、崩壊した経済を回復させるための起爆剤として給付金配布の財政出動に積極的だ。現に経済回復は予想より早く、2021年の経済成長指数は大幅に上方修正された。日本のようにたった一度の給付金では税金や保険の支払いに消え、あるいは経済的不安から貯金に回るだろう。しかし、給付金を受け取り続けたら消費する。節約の天才と言われる私すら、最近は品物の値段を見ずに買い物カゴに入れたり、食べに行く機会が増えた。」
他国で出来ていることが、我が国でできないはずはない。何が違うのであろうか?