水に降る雪

おもに宝塚、そして日々のこと

日本のいちばん長い日

2015-08-31 | 日記
見てきました。まぁ、時節柄見とこうかな、と思いまして。
とてもいい作品だと思います、真面目で。余計な感傷的場面や台詞が少なく、無駄を極力省略してる感じ。
(原田くんとか見習って欲しいよなぁ
なるべく沢山の人に見てほしいなと思いました。出来たら海外の人にも。


見ていて初めて気付かされたことや、改めて気付かされたことがありました。

一つは昭和天皇と、その周辺の人たちが、私が考えていた以上に、イギリス型の立憲君主制にこだわっていたこと。
「君臨すれども統治せず」と昔、世界史の時間に習いましたし、2012年の「エドワード8世」で、
政治的言動に対し議会やメディアに厳しく批判されていたのを思い出しました。

戦局がどうしようもないところまで悪化していて、戦争を止めたいと内心思っているのに、
会議は堂々巡りで結論が出せない。その間にも広島長崎と原爆が落とされ、ソ連が参戦する。
この上は天皇の“聖断”によって終わらせるしかない、と首相が昭和天皇に相談します、申し訳なさそうに。

すると天皇の方も、それによって戦争を終わらせることが出来るなら「敢えて禁を犯そう」と応じるのです。
天皇が政治に口を挟むことがタブーだった、ということがわかります。

考えてみたら、少なくとも千数百年続く天皇制の中で、天皇親政の期間なんてほんの一部の期間なんだよね。
院政はある程度続いたけど。
そう考えれば、明治になって天皇制を考えた時、イギリスのような立憲君主制が、
日本として一番しっくりくると考えたのは、当たり前なのかも。


もう一つはポツダム宣言の受諾と、玉音放送によって終戦に至る道が、ギリギリの綱渡り状態だったこと。
クーデターの危険があって、実際に成功しかけた。

全てにおいて破綻していたのに、本土決戦を強行しようとする思考回路が信じられない。
「2000万人犠牲にすれば、勝機はある」とか、当時の軍人にとって、人は数字でしかなかったんだなぁ。
人がいなければ戦争は出来ない、お金がなければ戦争は続けられない。
鍋釜まで鋳つぶして竹槍が武器とか、江戸時代の百姓一揆じゃあるまいし、
その時点で終わってる、って思わないのかね。
経済と兵站に関する観念が、すっぽり抜けてしまってる。
現実が見えず、負けを負けと認めない、往生際の悪さ。まるで才能がない博打打ちのようだわ。
(まぁそれもこれも現代の人間だから、言えることかもしれませんが。
その時代に生きていたら、その時代の思考に染まっていたのかも

それともう一つ、鈴木首相はすごく急いでいたということ。
誰だったか忘れましたが「あと○日待って欲しい」と言ったのに対して
待てない、と突っぱねるシーンがありました。首相が拒否したのには理由があって、
「ソ連が北海道に来るまでに終わらせる」でした。
相手がアメリカ一国である間に終わらせなければ、日本は分断されてしまう、と考えていたのでした。
正直、ゾッとしました。


ふと考えてしまいます。次に日本が戦争を始めた時、“聖断”を下してくれる人はいるんだろうかと。
コメント
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