ベルのきもち

日常のささやかな幸福感を書いていきたいと思います。

アメリカミステリー『密室の王』

2014-06-22 07:44:20 | 本の紹介
 byカーラ・ノートン。羽田詩津子訳。角川文庫。

 誘拐監禁事件の被害者で、事件から10年経った今もまだ悪夢やフラッシュバックに悩まされる22歳のリーヴ。
現在は一人暮らしをし、日本料理のレストランで働き、精神科医ラーナーのセラピーを受けている。
そんなときリーヴは、誘拐され13か月間監禁されたあと、救出された13歳の少女、ティリーの心のケアにかかわるようになった。
ティリーは家族のもとに帰されて、犯人も逮捕されてもなお恐怖におびえていた。この地方ではまだティリーと同じような年頃の少女、
ハンナとアビーが誘拐されたまま、発見に至っていない。警察は誘拐の手口がティリーの場合と似通っていることから他の二人の少女も
ティリーを誘拐し監禁した犯人、ヴァンダーホルトの犯行だと推察する。しかしヴァンダーホルトは刑務所から裁判所に移動の途中で
何者かによって射殺されてしまう。警察はティリーに手がかりを求めるが、当のティリーは今度は自分の番だと恐怖から口を閉ざすが、
リーヴにだけはもう一人の男の存在を明かす。

他人名義で銃や家を購入、他人を繰って少女を誘拐させ、その世話をさせる、真の首謀者。リーヴは彼がなにものかを追っているうちに、
いつのまにか恐怖や心のトラウマを克服していることに気づく・・・

いくら他人を装って自分の痕跡を隠していても、自分が自分である、固有の証左、声や癖・・・どこかに痕跡が残っているものである。