ベルのきもち

日常のささやかな幸福感を書いていきたいと思います。

海外ミステリー『死の長い鎖』

2014-06-02 15:40:16 | 本の紹介
 byサラ・ウルフ。高橋豊訳。早川書房。

 1986年、アメリカ、カリフォルニア州北部の田舎町、フェアフィールド、誰もが小さい時からの知り合いというのどかな町で、
高校教師ディヴィットの妻、エリザベスが亡くなった。車に仕掛けられた爆発物が爆発して即死したのだった。
ほどなくして彼の教え子、高校生カップルが車のなかで銃で撃たれて、遺体となって発見される。
2つの事件の関係者ということで、ディヴィットは容疑者になってしまう。
彼は無実を晴らそうと、事件を調べていくうちに不思議なことに気がついた。

その昔、デイヴィットの父は高校を卒業後、同郷の友人4人と入隊し、戦争に行った。
戦争が終わり、1人は戦死、残りの4人は帰ってきたが、彼らはみな変わってしまった・・・

4人は結婚し、そのなかでアルだけが離婚し、行方不明になる。3人はこの土地にとどまり、子どもや孫をもうける。
しかし3人と彼らの子どもや孫がおおかた、事故死していた。
残ったのはディヴィットと、あと3人。
ディヴィットは行方不明になったアル・ランディを探すことに・・・

ストーリーの展開が速く、登場人物の心理描写が巧みで・・・主人公、刑事、犯人と狙われている女性、新聞社の編集者たちが
一癖もふた癖もある個性的な人物で、後半は心理作戦になり、相手の心理をどれだけ正確に推理できるかに勝算、命をかけて
闘うことになり・・・面白かった。

作中で、刑事がディヴィットに、復讐のためとはいえ、人を殺してしまったら、きみは残りの人生を十字架を背負って生きていかなければならないと
いうようなことをいって、諭すシーンが心に残った。