アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン接種後に稀な血栓症が発生する副作用と診断され、その後死亡する事例が初めて確認された。

2021-06-18 13:15:05 | コロナ対策:国民の命を守れ!

「アストラゼネカ製ワクチンで血栓」副作用…

韓国で30代男性が初めて死亡

登録:2021-06-17 02:15 修正:2021-06-17 09:01
 
先月27日に残余ワクチンを接種した30代の男性、集中治療室で治療の末死亡 
韓国では30歳未満のみ接種を制限も、稀な血栓発生はいずれも「30代前半の男性」
 
 
4月26日午前、ソウル鍾路区のある病院で、医療スタッフがアストラゼネカのワクチンの接種を準備している/聯合ニュース

 韓国で、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン接種後に稀な血栓症が発生する副作用と診断され、その後死亡する事例が初めて確認された。死亡したのは先月アストラゼネカの残余ワクチンの接種を受けた30代で、国内で2番目に確認された血小板減少性血栓症の事例だった。2件の副作用はいずれも30代で発生しており、死者まで出たことから、同ワクチンの接種を30歳未満に対してのみ制限している現行基準が適切かどうかをめぐり、波紋が予想される。

 コロナ予防接種対応推進団は16日、国内で2例目の血小板減少性血栓症と診断された患者が、同日午後2時10分頃に死亡したことを明らかにした。死亡したのは基礎疾患のなかった30代前半の男性で、先月27日にアストラゼネカのワクチンを接種していた。接種から9日たった今月5日にひどい頭痛と嘔吐を訴えて医院級の医療機関を訪れ、症状緩和のための薬物の処方を受けたものの、症状は回復しなかった。それから3日後の今月8日に意識が低下したため上級総合病院を訪れ、その際に血小板の減少、血栓、脳出血などが確認された。この患者はその後、集中治療室で治療を受けていたが、16日に死亡した。推進団は「直接の死因は脳出血で、脳出血の原因は大脳静脈洞血栓症だ。大脳静脈洞血栓症の原因は血小板減少性血栓症」と明らかにした。

稀な血栓症の治療は可能だと言っていたのに死亡…なぜ?

 政府はこれまで、アストラゼネカやジョンソン・エンド・ジョンソン社(医薬品部門ヤンセンファーマ)などのアデノウイルスベクターワクチンが誘発する血小板減少性血栓症は、迅速に診断され、医療的処置を受ければ治療が可能な疾患だと説明してきた。しかし今回の事例を見ると、初めて訪れた医院級の医療機関では迅速な診断手続きが開始されていなかった。政府が先月配布した医療関係者用の手引書によると、アストラゼネカのワクチン接種後4~28日以内に副作用の疑われる症状(呼吸困難、胸痛、持続的な頭痛、視野が曇るなど)が見られた場合、まず一般血液検査(CBC)を通じて血小板の数を確認しなければならない。これは医院級の医療機関でも可能な検査だ。

 しかし推進団によると、この患者が初めて訪れた医院級の医療機関では「(頭痛や嘔吐などの)症状を好転させるための薬物の処方が行われた」という。このため上級総合病院に行くのが遅れ、亡くなる前日の15日にようやく「血小板第4因子(PF4)」検査によって血小板減少性血栓症との診断が確定した。元疾病管理本部長のチョン・ギソク翰林大学聖心病院教授(呼吸器内科)は「接種後に血小板減少性血栓症の疑われる症状が発生すれば、被接種者は必ず医師に接種したことを伝え、医療スタッフは早急に血小板数値検査を行うべき」と述べた。推進団もこの日、「医療機関は、来院患者が副作用の疑われる症状を示せば、予防接種歴を徹底的に確認し、血液検査をまず行わなければならない。疫学調査の結果にもとづいて接種後の異常反応の発生と死亡までの経過を専門家と共に検討し、補完が必要な部分を改善する計画」と明らかにした。

 国内で血小板の減少を伴う血栓症が初めて確認されたのは先月31日。この患者も30代前半の男性で、感染脆弱施設の従事者だ。4月末ごろにアストラゼネカのワクチンを接種し、その後、脳静脈洞血栓症、脳出血、血小板減少などと診断された。チョン教授は「先月最初の患者が出た時、疾病管理庁は各医師に個別にショートメッセージを発送してでも、診断検査と処置に関する案内をもっと徹底し、注意を促すべきだった」と指摘した。

英国やイタリアなどは年齢制限引き上げ…「韓国も危険と得失を計算しなおすべき」

 アストラゼネカのワクチンは、国内で接種が制限されているのは30歳未満のみ。20代にはワクチン接種で生じる利益よりも副作用のリスクの方が大きいという計算からだ。コロナは若いほど感染時に重症になったり死亡したりする確率が低くなるという特性がある。国内の副作用は2人の30代に発生していることから、30代でもワクチン接種の利益の方が危険より大きいという計算が有効かどうかを問う記者に対し、推進団は「接種件数、(副作用の)発生状況をもとに、関連する専門家と改めて検討することが必要な事案だと思われる」とし、「そうした作業も並行してやっていくようにする」と述べた。推進団の集計によると、国内で30代に対して実施されたアストラゼネカのワクチンの1次接種件数は、今月13日現在で45万8246件。

 他国では、アストラゼネカのワクチンの接種年齢制限が引き上げられつつある。最近イタリアでは、60歳未満に対するアストラゼネカ製ワクチンの接種を中止した。イタリアは、1次接種で同社のワクチンを接種した60歳未満に対しては、他社のワクチンによる交差接種を承認した。英国も今年5月に年齢制限を30歳未満から40歳未満へと引き上げている。その他にも、ノルウェーとデンマークは自国民に対して同社のワクチンを接種しないことを決めている。高麗大学九老病院のキム・ウジュ教授(感染内科)は「今からでもアストラゼネカのワクチンの年齢層ごとの危険・利益分析を改めて行い、接種対象年齢を50代以上へと引き上げるべき。また血小板減少性血栓症に対する医療界の注意を高めるには、まず政府が接種者数を早く増やすことにすべての力量を集中するのをやめ、副作用に対する警戒心を喚起すべきだ」と述べた。

ソ・ヘミ、チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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