トランプ勝利の「筆頭功労者」マスク氏、
規制撤廃を得て米中の「掛け橋」役となるか
今年の米国大統領選に1億ドル以上の資金を投じ、「トランプのチアリーダー」の役割を果たしたテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、今後2期目のドナルド・トランプ政権で広範囲な影響力を行使するものとみられると。ロイター通信が6日(現地時間)報じた。マスク氏は政治資金管理団体「アメリカPAC」を設立し、露骨な「金品散布」を実施し、支持演説の舞台にも直接出るなど、トランプ氏の選挙の勝利の「筆頭功労者」だと評されている。
トランプ氏はこの日早朝、フロリダ州のウェストパームビーチで行った勝利演説でマスク氏に言及し、「天才を保護しなければならない」と持ち上げた。マスク氏の宇宙事業体「スペースX」の衛星サービス「スターリンク」などに言及し、「多くの命を助けた」と力説した。このような雰囲気の中でテスラやスペースXなどは各種の規制から外れることになる可能性が高いとみられるというのが、現地メディアの分析だ。
匿名を求めたスペースXの上層部の関係者はロイターに、「マスク氏はすべての規制が自身のビジネスとイノベーションの妨げになると考えている」として、「トランプ政権を、可能な限り多くの規制をなくし、好きなことを思う存分早めることができる手段だと考えている」と述べた。
一つ目は、テスラの電気自動車(EV)、自動運転車に対する補助金政策、規制問題に声を上げるものとみられる。マスク氏は先月のテスラの実績発表で、州別の規制環境に対しての困難を吐露し、連邦政府による承認手続きの必要性を主張した。
この問題に詳しいある関係者はロイターに、「マスク氏の目標は、連邦の主要な安全規制機関である道路交通安全局(NHTSA)が、テスラの運転者支援システムであるオートパイロットと完全自動運転の安全性に関する潜在的な施行措置を保留させること」だとしたうえで、「今後4年間で最も重点を置くのは、規制撤廃になるだろう」と述べた。
マスク氏はまた、ブレイン・コンピューター・インターフェース企業であるニューラリンクを経営するなかで食品医薬品局の承認手続きを批判してきた。安全に関する承認手続きを短縮しようとしているとの予想が出ているのはこのためだ。スペースXでたびたび浮上していた免許違反や安全要件未達成の摘発なども、今回を機に規制を調整して解決しようとする可能性がある。
トランプ氏は億万長者のマスク氏に「権力」まで与えると公言した。トランプ氏は9月、連邦政府の財政に対する改革勧告案を提示する政府効率化委員会を設立し、これをマスク氏に任せると公の場で明言した。
マスク氏は先月27日の選挙演説の場で、「政府効率化省」を通じて連邦政府予算を少なくとも2兆ドル削減することが可能だと主張した。2024年会計年度の連邦政府の支出額(6兆7500億ドル)の3分の1を削減するという構想だが、この予算の相当部分が人件費に割かれているため、マスク氏が200万人にのぼる公務員の削減に着手するという予想が支配的だ。
一部からは、マスク氏がトランプ政権の対中国貿易政策の面では中国側の声を伝えることができるという見方も出ている。トランプ氏は、中国製品に60%の超高率関税を課し、残りの国に対しても10~20%の普遍的基本関税を課すと公言しているが、ウォール・ストリート・ジャーナルは、米中貿易戦争が顕在化した場合、テスラの中国事業が脅かされると予想した。
サウスチャイナ・モーニング・ポストはこの日、「マスク氏が政権に合流するという見通しから、中国ではワシントンと北京の間の交流が増えるという期待が高まっている」として、「マスク氏のような技術分野の億万長者が、緊張した関係において安定剤の役割を果たすだろう」と指摘した。
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