ウクライナの反撃で奪還した地域、
人影のない「幽霊村」に
戦線近くの地域でのアパート爆撃で11人死亡
ウクライナ中部地域のあるアパートが爆撃を受け、民間人11人が死亡する惨事が起きた中、ウクライナ軍が反撃で取り戻した東部戦線地域は人影のない「幽霊村」に変わり果ててしまったことが確認された。
ロイター通信と英国BBCは13日(現地時間)、ここ最近ウクライナ軍が奪還したドネツク州中西部地域のネスクチネ現地を視察したところ、人のいた形跡は打ち捨てられた食料品店の建物だけだったと報じた。砲弾を受けて元の姿もわからなくなった食料品店の廃墟の上には、ウクライナの国旗が掲揚され風にはためいていた。木の並ぶ通り沿いに連なる小さな家々のうち、被害を受けていない建物は一つもなかった。ロイターは「遠くから聞こえる砲撃の音と鳥のさえずりだけが、この小さな村を覆っていた」と伝えた。
人が住んでいた跡も見当たらなかった。BBCは「文明の唯一の痕跡といえるものは、破壊された薬局と食料品店だけだった」とし、塹壕のような軍事施設も見られなかったと報じた。同放送によると、小さな小銃の跡が無数に残る建物だけが、この地域で激しい接近戦が行われたことを伝えていたという。
ロイターは、この村で戦死したロシア兵士3人の遺体を目撃したとし、1体の遺体は道に放置されていたと伝えた。ウクライナ防衛軍所属のある兵士は「ドローンでこの兵士が死亡するのを見た」とし、「仲間が彼を支えて連れてきたが、ここに置いて行ってしまった」と述べた。
BBCの取材陣を案内したウクライナ兵士は、1カ所に長く留まるのを避けた。兵士は、木の生い茂った野山や廃墟となった庭園などに隠れたロシア軍の迫撃砲攻撃が周期的に行われていると話した。また、ロシア軍が尾根の向こう側にまだ残留していると付け加えた。BBCは「突然3カ所で砲煙が上がり、すぐに移動した」とし、ここの状況は昨年4月初めにウクライナ軍が首都キーウ周辺地域を奪還した時とは違って非常に流動的だと伝えた。
ネスクチネは、ロシア軍が占領しているドネツク州の州都ドネツク市から西に約100キロ離れたところに位置している。この村は、2014年春に親ロシア分離独立勢力が内戦を起こしたとき、しばし分離独立勢力の統制を受けていた。ロシア軍は昨年2月末、ウクライナ侵攻戦争開始直後にこの村を再び占領し、占領から1年あまりで解放された。ウクライナ軍はこの地域から南にアゾフ海海岸まで進撃することで、ドネツク州を西のヘルソン州、クリミア半島などと結ぶ陸上補給通路を遮断しようとしている。
今月4日からウクライナ軍が本格的な反撃作戦に乗り出し、ドネツク州南西部、ザポリージャ州中部などで戦闘が激しくなる中、13日にアパートが爆撃され11人の民間人が死亡する惨事が発生した。
南部戦線からやや離れたドニプロペトロウシク州のクリビーリフで、5階建てのアパートと食品貯蔵倉庫がロシア軍のミサイル攻撃を受け、民間人11人が死亡、28人が負傷した。市当局は同日午前3時20分頃、ロシア軍が発射した6発のミサイルのうち1発が落下し、建物が破壊されたと発表した。アパートの住民のビラさん(40)は「爆発音とともにせん光が光った後、すべてが燃え始めた」とし「恐怖に駆られた人々が悲鳴を上げ始め、一部はバルコニーから飛び降りて脱出した」と語った。
クリビーリフはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の出身地。爆撃後、同大統領はソーシャルメディアに載せた短い声明で「不幸にも死亡者と負傷者が発生した。テロリストは決して許されない。彼らが撃ったミサイル一発一発に対して責任を問う」と述べた。
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