企業が資金調達するとき大きく二つの方法がある。一つは銀行から借り入れをすることで、もう一つは新株発行(社債も)することである。前者を間接金融といい後者を直接金融という。
銀行から借り入れをすれば利息をつけて返済しなければならず返せなければ破産・倒産ということになる。
一方、新株発行は返済する必要はないが、多数派株主の総株式に対する割合が低下し、会社にたいする支配力が弱まるという欠点がある。
中小企業は新株発行による資金調達をほとんどすることはなく、銀行から借り入れをするのが通常である。
この点については、すでに過去のブログで述べた。
ところで、銀行の誕生について、一応流れをおさえておこう。
中世末期のイギリスにおいて主要な決済手段はゴールドであった。
商業取引が増え、多額のゴールドを抱える商人が出てきた。これらの者はゴールドを手元に置くのは不安であり、それを金庫業者(ユダヤ人)に預けることになる。金庫業者は預り証をゴールド所有者に渡した。
ちなみに、キリスト教ではお金を預かることが禁止されていたから、ユダヤ人が、それをすることになる。
ゴールド所有者は支払いをするとき、いちいちゴールドを金庫から出して支払うのは重いし面倒だから、紙切れの預り証を渡して決済するようになる。
この預り証が紙幣の起源である。
しばらくして金庫業者は金庫に預けられているゴールドが減らないことに気づく。そこで、こっそりばれないように利息をつけてゴールドの貸し出しを始める。この貸し出し運用が銀行の始まりである。
つまり、金貸しの始まりは違法なことだったのである。
貸し出したゴールドが、再びどこかの金庫に預け入れられ、再度貸し出しに回る。
それで。預り証が大量発行されることになる。預かり証(貨幣)がたくさん出まわれば、経済活動が活発になる。
それが、貨幣経済成長の原動力となった。
このように、預り証を保証するゴールドよりも、預り証の量が多くなることを信用創造と呼び、これは現代の銀行においても重要な機能である。
やがてイギリス全土に同業者が現れ、それぞれが独自の預り証を発行するようになり、多種多様な紙幣が現れた。しかし、それぞれの紙幣が業者の信用力に依存することになったため、やがて預り証を発行する権限を持つ銀行が統合され、中央銀行となった。それ以外の銀行は、預り証を預かる商業銀行として発展することになる。
ニクソンは世界中のアメリカドルを持つ人間がアメリカに対しゴールドとドルを交換してくれといわれたら、もうゴールドはありませんというしかない状態になったため、ドルと金の交換を停止し、金本位制をやめてしまった。
これがいわゆるニクソンショックである。これによりアメリカはゴールドを根拠とせずにバンバン紙幣が刷れるようになった。
このように銀行を中心とした金融システムには成り立ちは違法なものだったし、、現行のあり方にしても、大きな欠陥がある。
ただし、銀行もいろいろと進化している。貸出をほとんどしないで高収益を上げている銀行が既に現れている。セブン銀行だ。
セブン銀行の主な収益源は、セブン&アイのグループ各店舗にATMを設置することによる、
提携先金融機関や利用者からの利用手数料であり、消費者から受け入れた預金は、国債・政府保証債など信用リスクの低い商品に限定して運用している。同社はATMによる決済専業銀行という新しいビジネスモデルといえる。