フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

ギリシャ神話の有用性

2012年05月21日 08時47分07秒 | 社会・政治・思想哲学

 古代ギリシャの知識人たちは、ギリシャ神話を丸暗記していたらしい。
 ギリシャ神話は、神さまたちが好き勝手に残虐非道な行いをする物語である(それだけではないが)。
 神さまですらそんな感じなのだから、それより劣る人間はもっと酷いはずである。

 この残虐非道な物語であるギリシャ神話には、寛容とか共生の知恵が含まれている。ギリシャで民主主義が生まれたのは偶然ではない。
 人間のピュアな部分だけを取り出して、それを理想の人間像とし、
それ以外は認めないタイプの社会では、人々が共生することは難しい。
 なぜなら、人間はピュアな部分だけではなく下劣なところが必ずあるからである。私たちは、他人の下劣な部分を許せない。  

 
 自分がこのような人になりたいとおもって理想を掲げ、それに向かって努力することは重要なことである。しかし、それだけでは足りない。理想を追求するあまり、自分の下劣な部分を無視しようとするからである。
 自分の内面を徹底的に分析する。そして、下劣な部分が自分の中にあることを認める。そうすることで、他人の下劣な部分を許せるようになるのである。
 共生は、自分より貧乏な者、知識が劣っている者、明らかに価値観が違う者など、一緒にいたくない人たちと我慢して生活することではない。私と違う他者のなかに自分と同じような部分を見出すことで、その違いを許すことである。そのためには、自分の中に多様な感情があることを見出さなくてはならない。
 
 ギリシャ神話には、人間を洞察する上でさまざまな知恵が含まれている。

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