6月23日、両神山を登山中の男性が行方不明になり、24日に遺体で見つかった。登山道の脇の崖から滑落したことが原因だそうだ。
この事故が起きた八丁尾根コースから両神山に何回も登っているので、少し複雑な気持ちがする。岩場と鎖場の連続でかなり危険な登山コースである。ちょっと気を抜いて下山すれば簡単に滑落してしまうだろう。
平均的な登山コースであれば、5時間以上は山道を歩かなければならない。
登山経験者ならわかると思うが5時間歩くとかなり疲労する。普段ほとんど運動していない人なら、後半、足がガクガクしてちょっとしたことで転倒しやすくなる。
私も登山を始めた頃よく転倒した。最初は奥多摩の安全な登山道ばかり選んで行っていたので命の危険はなかったが、もし危険な岩場なら大怪我していたと思う。
最近はほぼ毎日5キロ以上走っているので、心肺機能も上がり筋力もそれなりについてきた。だから、転倒することはほぼ無くなった。しかし、それでも下山の後半になると疲労が蓄積し集中力が切れそうになることもある。だから、安全に登山をしたかったらそれなりのトレーニングが必要になる。
じゃあ、そもそも危険な登山なんかしなければいいじゃないかという意見もあるだろう。確かにごもっともな意見で正論だと思う。しかし、これに対しちょっと弱いが反論もある。
私たちの今の便利な生活は、特別な環境の中で営まれている。これが常態だと思わないほうがいい。石油が止まれば簡単にアウトになってしまうようなものである。もし、電力やライフラインがストップしてしまえば、自分の足で食料や水を確保しなければならない。そして、それには危険が伴い体力が必要となる。
小猫が必要もないのにじゃれて遊ぶのは、狩りをしなければならない時のための練習である。それと同様に、人間があえて冒険的な危険を好むのは、環境が変化する時の危険を扱うためである。だから、人間は本能的に危険なことをしたがるのである。
自己責任論をかざし危険な行為をする人間を非難するのは、有益ではない。例えば、辛抱さんのヨット遭難もそうだと思う。ただ、油断と無知による無謀行為で命を落とすことは避けなければならない。自分の実力と危険度のバランスが大事なのである。
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