継続の法則 自助努力のススメ 公認会計士 内藤勝浩のブログ

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経営者保証ガイドラインを斬るNo15 ガイドラインの対象

2014-06-05 09:53:21 | うんちく・小ネタ

   主たる債務者と保証人の姿勢の2番目の要件は、「対象債権者の請求に応じ、それぞれの財産状況等(負債の状況を含む。)について適時適切に開示していること」です。
 これは、主たる債務者である中小企業と保証人である経営者の両方が、その負債(借金)を含む財産状況等の情報を開示していることという意味です。
 「財産状況等(負債の状況を含む。)」ですが、主たる債務者である中小企業の場合は、決算書類、毎月の試算表、事業計画書等が該当すると思われます。保証人である経営者については、金融機関の様式等があれば、それを、なければ資産、負債(借金)、収入・所得等の分かるような書類を作成し提出すればよいと思います。
 「適時適切に」については、遅くなり過ぎない時期に、正確な情報を分かり易い方法で、情報提供していれば問題ないでしょう。
 「対象債権者の請求に応じ」となっていますが、企業の決算書類等の定期的に提出する情報は、対象債権者(金融機関)から請求がなくても提出するようにした方がよいでしょう。
 私は事業計画書や月次資料等についても中小企業側から積極的に金融機関に提出することを勧めています。どの程度の資料を提出するかは、中小企業の置かれている状況によって違いますが、きちんとした内部管理資料を定期的に提出することは、金融機関に対して、「おっ、この会社、しっかりしているぞ。」という印象を与えるからです。
 ただし、内容が実態を表していない形式的なものや、専門家が作成したもので自社が説明できないようなものでは逆効果になることもありますので注意してください。
 ここで大切なのは、対象債権者(金融機関)からの請求を拒否しない、隠さないという姿勢です。
 しかし、以下の2点に注意してくささい。ひとつは、粉飾決算をしている場合です。金融機関は提供を受けた決算書を正確なものに修正して中小企業を評価しています。金融機関がその粉飾に気が付いていないような場合、正確な決算書類等を提出してしまうと、「えっ、財務状況は、こんなに悪かったのか。これじゃ、今後の融資は考えないといけないなぁ。」ってことにもなりかねません。このような場合は、慎重に検討してからガイドラインの活用を実施してください。
 もうひとつは、経営者個人の資産の公開についてです。企業の情報については積極的に開示すべきというのが私の考えですが、経営者個人については、なんでもかんでも積極的に開示するのではなく、ケースに応じて考えるべきというのが私の考えです。
 粉飾決算をしている場合や個人資産の公開については、後日、詳しく説明させていただきます。
 いつになるか分かりませんが。

 元地方銀行員の52歳のオッサン公認会計士でした。
 では、また。