今回は、ガイドラインの対象となる要件の3番目、主たる債務者と保証人の債権者(金融機関)に対する姿勢についてです。 そこで、この「弁済について誠実であること」について、借りたお金を返すことに関する思いと行いという観点から、私なりに類型化してみました。
主たる債務者と保証人の双方に対して、次のような姿勢であることが、ガイドラインの対象となる要件とされています。
①弁済について誠実であること
②対象債権者(金融機関)の請求に応じ、それぞれの財産状況等(負債の状況を含む。)について適時適切に開示していること
まず、「弁済について誠実であること」ですが、これは私の解釈では、簡単にいうと「借りたお金をきちんと約定通り返している」又は「返そうとしている」ということであろうと考えます。
ここで、「返したいんだけど、業績等の理由から返せない」又は「当初の返済条件を変更してもらい返している」というのは、弁済について誠実であると考えることにしましょう。
それじゃあ「弁済について誠実でない、つまり、借りたお金を返そうとしない企業なんてあるのか?」と思われる方もいるかと思います。
Aは、借金を返そうと思っていて、きちんと返しているパターンです。この状況であれば、問題ありません。
Bは、借金を返そうと持ってはいるが、きちんと返せていないパターンです。これには、借金を返そうと思ってはいるが、業績の不振等の要因により返済が遅れがちになったり、当初の返済条件を緩めてもらったりしているケースが該当します。
Cは、借金を返そうとは思っていないのに、きちんと返しているパターンです。思いはどうあれ、きちんと返済していれば問題はないでしょう。
Dは、借金を返そうと思っていないので、きちんと返していないパターンです。このようなことがあるのかと思われる方もいるかもしれませんが、私は、あると考えています。このパターンは、私の経験からは、さらに2つに分類されます。ひとつは、悪意を持って最初から借金を踏み倒すつもりで借りるような場合、金融機関が騙されるような場合です。もうひとつは、悪意はないようなのですが、経営者の言動や行動から察するに、「この人、借りたお金を返そうと思っていないのかもしれない」と思われる場合です。「経営に専念せず、経営以外のことに専念し、企業が困ったら金融機関が何とかしてくれる」といった状態の経営者が該当します。
「弁済について誠実」であるかどうかの判断は、最終的には金融機関が判断することになると思われますが、ガイドラインはできる限り対象を広く捉えようとしていると考えられますから、この段階で対象を絞り込むのはどうかと考えます。
上記のパターンでいうと、Dの悪意の場合を除いて、「弁済について誠実」と判断してもいいと考えます。
金融機関サイドからは異論があるかもしれませんが、この段階で絞り込まなくても、後で機会は与えられていますので問題ないかと思います。
次回は、もうひとつの「対象債権者(金融機関)の請求に応じ、それぞれの財産状況等(負債の状況を含む。)について適時適切に開示していること」について解説します。
いつになるか分かりませんから、その間、拙著「本音を言わない銀行、言っても解らない中小企業の社長」でも読んで一服してください。左のおススメの本から購入可能です。
元地方銀行員の公認会計士のオッサンでした。
では、また。