またか！ 料亭「船場吉兆」・・・

　大阪の料亭・船場吉兆の本店が、お客が食べ残した料理を使い回していたという。同社関係者が「使い回しは２０年以上前から行われていた」とリークしたそうな…。ささやくだけでなく、ちゃんと口止めしとかなきゃだめだよ、女将さん。

　新聞によれば、使い回しは法人化される前の「吉兆船場店」時代からで、客が手をつけずに回収された銀ダラやハモ、牛肉などの焼き物を再び調理して提供していたほか、折り詰め弁当に入れることもあったという。また、天ぷらは揚げ直して出すこともあり、さらに、手付かずで残った刺し身も提供していたという。
　『使えるものはすべて使う』と指示され、残った料理をえり分けていたという。刺し身に使うワサビは、客がはしを付けた場合も回収してしょうゆに混ぜ、「ワサビじょうゆ」として別の料理に使っていた。うな丼は電子レンジで温め直したうえで器を替え、フルーツゼリーなどはそのまま別の客に出すこともあったという。
　食品衛生法は、腐敗などで健康を損なう恐れがある食品を販売することを禁じているが、使い回しに関する規定はないという。規定がないのではなく、これはモラルの問題で、使いまわしなどするはずがないから規定がないということであろう。

　それにしても１人数万円の料金を取っていながらやることがエゲツナイ。接待の宴席などでは、比較的食事に手をつけない接待側の客に使い回しの料理を出していたという。大阪商人はエゲツナイといわれるが、ここまでやるとは…。だが、あの“ささやき女将”ならやりかねないという気もしている。
　
　船場吉兆が営業再開したときには、大勢の顧客でにぎわったそうである。あの時、テレビのインタビューに応えていた顧客たちは、自分たちはこういう高級料亭に通っているんだという自己満足と優越感がミエミエの人ばかりだった。が、この残飯使い回しを知ってどう思っているだろうか、これでもまだ通い続けるのだろうか。
　何でも高ければ良いと勘違いしているブランド好きの人たちは、今回のことで他の高級店だってやっているのではないだろうかと疑心暗鬼になってはいないだろうか。私など高級と名のつくところに縁のない者はそんな心配などないが、どこでも台所事情のウラは分からないもので疑えばきりがない。
　旅に出ると夕食のお膳に１０何種類もの料理が出るが、中には嫌いなものや食べきれず箸をつけないものもある。だが、これからはお客みんなが食べずとも箸をつけた印を残して使いまわしが出来ないようにしておかなければ…。それほど食に対する安全が信じられなくなってきた。
　口にするものが信用できないなんて、船場吉兆への刑罰はないが、社会に対する道義的責任は大きい。いっそのこと、潔く看板を下ろしてはどうだろうか。