風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

悲しみを星に

2017年12月26日 20時00分15秒 | 詩集

 悲しみを星に変えて
 冬の夜空へ飾ったら
 翼の折れた夢が
 青い吐息に震えた

 生きるはかなさを
 こまかく引き裂き
 星明りの隙間に
 埋めてみる
 やさしく
 ひそやかに
 凍えるほどに美しく

 夜の鳥が
 ホロホロと鳴くのは
 智慧では
 かばいきれない
 この世のせつなさを
 知っているから

 遠いあの日
 君と交わした約束
 今でも
 はっきり覚えている
 忘れてなどはいない
 だけど
 生きれば生きるほど
 遠ざかってしまうようで

 真実を
 嘘で薄めてごまかせば
 胸の疼きは痛みへ変わる
 それが悲しみを
 それが悲しみの

 はかなさを星に変えて
 冬の夜空へ飾ったら
 たどり着けない言葉が
 白けた闇にこぼれた



月はどこから

2017年12月18日 16時45分45秒 | 詩集

 月はどこからのぼる
 夕霞
 山の連なり
 異郷の空
 砂利道を
 とぼとぼ歩けば
 吹く風は
 やさしく
 冷たく

 求めるものは
 遥か遠く
 真実を
 抱きしめたいと
 むなしく
 祈る日々
 いつたどり着くのかも
 わからない道

 旅から旅へ
 歩き続ける
 人として
 生まれてきた
 その謎を
 解き明かしたくて
 人生という名の旅を
 わたしなりに
 まっとうしたいから

 月よ伝えてよ
 元気にしていると
 淋しくはないと
 ふるさと離れて
 花一文目
 ふるさと離れて
 二十五年

 月はいつのぼる
 夕霞
 山の連なり
 異郷の空
 吹く風は
 やさしく
 冷たく
 帰り道は
 いつ見つかる


明日の空へ

2017年12月11日 17時00分15秒 | 詩集

 風は
 流れ
 流れて
 西へ
 西へ

 雲は
 流れ
 流れて
 西へ
 西へ

 世界をつつむ空
 今日一日という日を
 あざやかに染める
 夕映えは
 だれの想いを
 反射する?

 君と見る夢
 明日の夢
 そっとちぎって
 てのひらに
 おいてみた

 ひとりの夢は
 つまらない
 君と語り合うから
 夢は
 はしゃいで
 生きいきする

 やりたいことは
 いろいろあるけど
 ひとつずつ
 やっていこうね
 この空の下で
 君といっしょなら

 てのひらへ
 そっと息を
 吹きかける
 風がこっそり
 夢のかけらを
 さらってゆく

 夢よ
 ぼくたちの夢よ
 夕焼けの向こう側
 しあわせの住む
 明日の空へ
 飛んでいけ

 風は
 流れ
 流れて
 明日へ
 明日へ

 夢は
 流れ
 流れて
 明日へ
 明日へ


かざぐるま

2017年12月09日 21時45分45秒 | 詩集

 かざぐるまが回る
 からからからと
 羽根の色がまじりあう
 思い出さなければいけない
 ことがあるんだ

 いまの僕は
 なにかを見失っている
 だけど
 いくら思いめぐらしても
 それがなになのかは
 わからない

 過ぎ去った日のどこかに
 僕にとって
 とてもたいせつな気持ちが
 埋もれているはず
 たぶん
 傷つきすぎたんだ

 かざぐるまがとまる
 一枚いちまい
 羽根の色がわかれる
 見つめても
 いくら
 見つめてみても
 思い出せない

 浮世のため息を吹きかけて
 かざぐるまを回す
 欠けた夢は
 色を失ったまま
 見失ったまま
 たぶん
 傷つけすぎたんだ

 かざぐるまが回る
 からからからと
 思い出がまじりあう
 取り戻さなければいけない
 想いがあるんだ



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