風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

ほうき星に乗った時間採り

2021年05月20日 06時15分15秒 | 詩集

 ほうき星に乗って
 晴れた宇宙を滑ります
 さわやかないい気分
 宝石を散りばめたような星々
 そのあいだをすり抜けながら
 大きな虫取り網を振り回して
 宇宙の風を捉えます

 宇宙の風には
 時間のかけらがまざっています
 金平糖のような小さな粒です
 虫取り網ですこしずつ
 時間のかけらを集めます
 花の香りに似た
 甘い匂いが漂います

 網の底にたまった
 時間のかけらが
 きらきらと輝きました
 誰のものでもない
 時間のかけら
 独り占めにできない
 時間のかけら
 科学者は有限だといい
 宗教家は無限だといいます
 真実はどちらでしょうか?

 僕はただ集めたいだけです
 時間のかけらを部屋の壁に飾り
 そのあたたかい光のなかで
 昔の小説を読んだり
 チェロを弾いたりしていると
 気分がそっと安らぎます
 ただそれだけです

 今日も僕はいつものように
 ほうき星に乗りながら
 宇宙の風を捉えます
 時間のかけらを集めます
 明日も宇宙が
 いいお天気でありますように
 すこしずつでいいから
 しあわせになれますように

七色の天使

2021年05月10日 06時15分15秒 | 詩集

 七色の天使が翔んでいる
 愛らしい翼を広げ
 黄金色の光を曳ひいて
 星の眠る夜空をゆっくりと
 たゆたうような
 たわむれているような

 七色の天使が語っている
 夜をくぐり抜ければ
 そこは明日
 明日以外にはたどり着かない
 人が生きるのには意味があって
 希望がいつも寄り添っている

 七色の天使が歌っている
 月の光を見てごらん
 闇に浮かぶ灯りを見てごらん
 宇宙のなかに
 完全な闇なんてないのよ
 人がもし暗闇へ落ちるとしたら
 それは自ら心を閉ざす時

 七色の天使がウインクする
 翼を傾かせ
 くるりと向きを変え
 明日で会いましょう
 明日で愛し合いましょう
 七色の天使はくすくす笑い
 夜の向こうへ翔んでいった

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